SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【57】遠近調節

カメラや、イカやタコの眼球では、レンズ(水晶体)の屈折率を変えずに、レンズと撮像素子やフィルム、網膜などとの距離(眼球の奥行き)を変えることで、遠近調節を行なっている。

 

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レンズと焦点距離(イメージ)

 一方、ヒトの眼球は直径24mm程で、遠くを見る時も近く見る時も、眼球の大きさ(眼球の奥行き)は変わらない。

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眼の構造(哺乳類)

ヒトの眼球では、水晶体(レンズ)の屈折率を変えることで、遠くを見ても、近くを見ても、常に網膜上に焦点を結べるようになっている。

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レンズが薄いと遠くがよく見える

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レンズが厚いと近くがよく見える

水晶体(レンズ)は弾性のある組織なので、周囲から引っ張れば薄く平らに、力を加えなければ丸く厚くなる。

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ヒトの眼の遠近調節

遠くを見るときは、毛様体筋が収縮(疲れる!)→チン小帯が緊張→水晶体が平らに薄く変形→水晶体の屈折率が低下→遠くの像が網膜上に結像する。

近くを見るときは、毛様体筋が弛緩(疲れない!)→チン小帯が弛緩→水晶体が丸く厚く変形→水晶体の屈折率が上昇→近くの像が網膜上に結像する。

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眼の遠近調節

【補足】

  • 水晶体/レンズ(カメラの“レンズ”にあたる組織。カメラの固いレンズと違い、弾性がある。タンパク質“クリスタリン”が蓄積していて透明度が非常に高い。)
  • 毛様体/毛様筋/毛様体筋(水晶体を取り囲むように円状に配置する筋肉。)
  • チン小帯(毛様体筋とレンズを繋ぐ”腱“。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【56】中枢パターン発生器

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屈筋と伸筋

屈筋と伸筋が、交互に“収縮&弛緩”を繰り返すことで、歩いたり走ったりすることができる。

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中枢パターン発生器

同じ周期で興奮を繰り返す信号が、“中枢パターン発生器”を通過すると、交互に興奮を繰り返す信号に変換される。

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中枢パターン発生器(ゆっくり再生)

 歩いたり走ったりするときに、屈筋には“曲げて!”信号を、伸筋には“伸ばして!”信号を、それぞれ送るのでは煩わしい。

中枢パターン発生器が有れば、“歩け!”信号を送るだけで、交互に収縮&弛緩を繰り返すリズミカルな運動が可能になる。

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羽ばたき(リズミカルな運動)

【補足】

  • 屈筋(屈筋が収縮すると関節が曲がる。)
  • 伸筋(伸筋が収縮すると関節が伸びる。)
  • 興奮(ニューロンの一部において膜電位が逆転し、“活動電位”が生じている状態。)
  • 興奮の伝導(ニューロンの中を興奮が伝導する。)
  • 興奮の伝達(ニューロン(シナプス前細胞)の神経末端から、隣接するニューロン(シナプス後細胞)へ興奮が伝達する)
  • EPSP(興奮性シナプス後電位。シナプス後細胞の細胞体の膜電位が、やや脱分極した状態。)
  • IPSP(抑制性シナプス後電位。シナプス後細胞の細胞体の膜電位が、やや過分極した状態。)
  • シナプス前細胞(シナプスにおいて、興奮を発信する側のニューロン。)
  • シナプス後細胞(シナプスにおいて、興奮を受信する側のニューロン。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【55】全か無かの法則

ニューロンに生じる活動電位の大きさ(ナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度差)は毎回ほぼ一定で、活動電位は”発生する”か”発生しない”かの二通りしかない。

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全か無かの法則

外部(他のニューロンや感覚細胞など)から加えられる刺激が一定の大きさ(閾値)よりも大きければ、毎回一定の大きさの活動電位が発生する。

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“弱い刺激”の場合

刺激の強弱は、興奮するニューロンの数や、一つのニューロンに発生する興奮の頻度に変換される。

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“強い刺激”の場合

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刺激の大きさの伝え方

【補足】

  • 全か無かの法則(All-or-Non low。様々な大きさの刺激に対して、反応するか?、反応しないか?の二通りしか無い。)
  • 閾値(ニューロン、感覚細胞、筋原繊維などがが反応するための最小限の刺激の大きさ。)
  • 興奮(ニューロンの一部において膜電位が逆転し、“活動電位”が生じている状態。)
  • 興奮の伝導(ニューロンの中を興奮が伝導する。)
  • 興奮の伝達(ニューロン(シナプス前細胞)の神経末端から、隣接するニューロン(シナプス後細胞)へ興奮が伝達する)
  • 膜電位(細胞内外の電位差。)
  • 静止電位(平常時の膜電位。通常、細胞外に対して細胞内は、−(マイナス)の電位になってる。)
  • 活動電位(興奮時の膜電位。瞬間的に、細胞外に対して細胞内が、+(プラス)の電位となる。)
  • 活動電流(興奮部と、隣接する部分との間で流れる電流。活動電流をきっかけに、興奮部に隣接する部分に新たに活動電位が生じる。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【54】EPSP&IPSP

中枢神経の興奮性シナプスでは、①"グルタミン酸(興奮性の神経伝達物質)"などの神経伝達物質がシナプス後細胞のリガンド依存性ナトリウムチャネルに結合し、②リガンド依存性ナトリウムイオンチャネルが開いて、④シナプス後細胞にナトリウムイオン(陽イオン)が流入すると膜電位がやや脱分極し、⑤シナプス後細胞に“興奮性シナプス後電位(EPSP)が生じる。

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興奮性シナプス後電位(EPSP)

ただし、EPSPは小さな膜電位の変化で、単独では軸索に活動電位を発生させるほどの刺激にはならない。複数のEPSPが重なって膜電位が閾値を越えて変化すると、軸索に活動電位が発生する。

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空間的加重

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時間的加重

一方、中枢神経の抑制性シナプスでは、①GABA(抑制性の神経伝達物質)などの神経伝達物質がシナプス後細胞のリガンド依存性塩素チャネルに結合し、②リガンド依存性塩素イオンチャネルが開いて、④シナプス後細胞に塩素イオン(陰イオン)が流入すると膜電位がやや過分極し、⑤シナプス後細胞に“抑制性シナプス後電位(IPSP)が生じる。

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抑制性シナプス後電位(IPSP)

EPSP(興奮性シナプス後電位)とIPSP(抑制性シナプス後電位)が同時に発生すると、互いの膜電位の変化は相殺されてしまう。

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EPSP&IPSP

中枢神経で働くグルタミン酸やGABA(γ-アミノ酪酸)以外にも、様々な神経伝達物質が存在する。

それぞれの神経伝達物質が、EPSP(興奮性シナプス後電位)とIPSP(抑制性シナプス後電位)のどちらを引き起こすかは、神経伝達物質と結合するリガンド依存性チャネルなどの受容体の種類によって決まる。

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神経伝達物質

【補足】

  • EPSP(興奮性シナプス後電位。シナプス後細胞の細胞体の膜電位が、やや脱分極した状態。)
  • IPSP(抑制性シナプス後電位。シナプス後細胞の細胞体の膜電位が、やや過分極した状態。)
  • 空間的加重(複数の神経終末から同時に刺激を受けると、EPSPが加算されて膜電位がより大きく変化する。)
  • 時間的加重(一つの神経終末から短時間に連続して刺激を受けると、EPSPが加算されて膜電位がより大きく変化する。
  • シナプス前細胞(シナプスにおいて、興奮を発信する側のニューロン。)
  • シナプス後細胞(シナプスにおいて、興奮を受信する側のニューロン。)
  • 神経伝達物質(シナプス前細胞の神経終末から、シナプス間隙に分泌される。シナプス後細胞のリガンド依存性チャネルなどの受容体と結合し、シナプス後細胞の膜電位が変化するきっかけとなる。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
  • 池谷祐二(2007).『進化しすぎた脳』.講談社

【53】興奮の伝達

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興奮の伝達

ニューロンの軸索を興奮が“伝導”し、ニューロンとニューロンの間を興奮が“伝達”する。

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シナプス
  1. シナプス小胞は、軸索内の微小管とモータータンパク質によって、神経終末まで運ばれている。
  2. 興奮が神経終末まで“伝導”してくると、神経終末の電位依存性カルシウムチャネルが開いて、カルシウムイオンが細胞内に流入する。
  3. シナプス小胞が神経終末の細胞膜と融合する(エキソサイトーシス)ことで、シナプス小胞内の神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。
  4. シナプス後細胞のリガンド依存性チャネルが神経伝達物質と結合して開き、イオンが流入する。
  5. シナプス後細胞の樹状突起や細胞体の膜電位が変化する。

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シナプスでの興奮の伝達

シナプスでは、シナプス前細胞が分泌した神経伝達物質(リガンド)は、シナプス後細胞のリガンド依存性チャネル(受容体)に結合するため、興奮は一方向にだけ“伝達”する。

一方、軸索では、膜電位の変化に伴って軸索のどの部分にも“活動電位”が発生する可能性があるため、興奮は両方向に“伝導”する可能性がある。

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“伝導”は両方向(の可能性)

【補足】

  • 興奮の伝導(ニューロンの軸索を“興奮”が伝わること。)
  • 興奮の伝達(ニューロンとニューロンの間を“興奮”が伝わること。)
  • シナプス(ニューロンとニューロンの接続部分。)
  • シナプス前細胞(シナプスにおいて、興奮を発信する側のニューロン。)
  • シナプス後細胞(シナプスにおいて、興奮を受信する側のニューロン。)
  • 神経伝達物質(シナプス前細胞の神経終末から、シナプス間隙に分泌される。シナプス後細胞のリガンド依存性チャネルなどの受容体に結合すると、シナプス後細胞の膜電位が変化する。)
  • リガンド(受容体に特異的に結合する物質の総称。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【52】跳躍伝導

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有髄神経

脊椎動物のニューロン(神経細胞)には様々な種類の“グリア細胞”が付着していて、血管からの栄養分を供給したり、興奮の伝導を補助したりしている。

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オリゴデンドロサイト

(中枢神経のグリア細胞)

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シュワン細胞

(体性神経のグリア細胞)

グリア細胞の中でも、中枢神経のオリゴデンドロサイトや、体性神経のシュワン細胞には、細胞膜が幾重にも重なった“髄鞘”がある。細胞膜のリン脂質は、絶縁性が高いため、活動電流は髄鞘を避けるように流れる。

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有髄神経の“跳躍伝導”

脊椎動物の有髄神経(髄鞘のある神経)では、髄鞘を飛び越えるように興奮が伝導(跳躍伝導)するため、無脊椎動物の無髄神経よりも伝導速度が速い。

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無髄神経の“ふつうの伝導”

【補足】

  • グリア細胞(ニューロンの軸索に巻き付くように付着する細胞。ニューロンとの物質交換や、興奮のに伝導、軸索の保護などの役割を担う。)
  • オリゴデンドロサイト(中枢神経におけるグリア細胞の一種。)
  • シュワン細胞(末梢神経におけるグリア細胞の一種。)
  • 髄鞘(ミエリン鞘。オリゴデンドロサイトやシュワン細胞の細胞膜が幾重にも軸索に巻きついた部分。)
  • ランビエ絞輪(隣り合う髄鞘の隙間。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【51】膜電位とイオン

普段、細胞外に対する細胞内の電圧(膜電位)は−70〜−60mVに保たれている。

ニューロン(神経細胞)の細胞膜が活動電流などの刺激を受けると、刺激された部分の膜電位が瞬間的に逆転する。

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膜電位の記録

細胞膜の内外で電位差が生じること(分極)の原因は、イオンの濃度差で説明できる。

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静止電位&活動電位

普段から、ナトリウムポンプは、カリウムイオンを細胞内に取り込み(能動輸送)、ナトリウムイオンを細胞外に放出(能動輸送)している。

また、カリウムチャネルの一部はカリウムイオンを細胞外に放出(受動輸送)している。

その他のイオンの濃度差もあって、全体的に細胞内に陽イオンが少ない状態となり、膜電位は−70〜−60mV(静止電位)に保たれる。

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静止電位

活動電流などによって、膜電位が閾値を越えて変化すると・・・。

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活動電位

①先に、電位依存性のナトリウムチャネルが開いてナトリウムイオンが細胞内に流入し、細胞膜内外の電位差(分極)が解消(脱分極)する。細胞内外でナトリウムイオンの濃度差が解消しても、カリウムイオンは細胞内に多いため、瞬間的に+40~+50mVの膜電位(活動電位)が生じることになる。

②続いて、電位依存性のカリウムチャネルが開くとカリウムイオンが細胞外に流出し、再び細胞膜内外の電位差が生まれる(再分極)。

③再分極の直後は、細胞内外のイオンのバランスが普段と違うため、普段より細胞膜内外の電位差(分極)がやや大きい状態(過分極)になってしまう。

やがて、ナトリウムポンプやカリウムチャネルによって、ナトリウムイオンは細胞外に多く、カリウムイオンは細胞内に多い状態へと回復する。

イオンの濃度差が普段通りに戻るまでの期間は、刺激を受けても脱分極できない(不応期)。

【補足】

  • 膜電位(細胞外に対する細胞内の電圧。)
  • 静止電位(平常時の膜電位。)
  • 活動電位(興奮時の膜電位。)
  • 分極(細胞膜などの生体膜を挟んで、電位差が生じること。)
  • 脱分極("分極“を脱すること。活動電流をきっかけに電位依存性のナトリウムチャネルが開き、短時間でナトリウムイオンが細胞内へ流入することによる。)
  • 再分極(再び"分極“すること。脱分極をきっかけに電位依存性のカリウムチャネルが開き、短時間でカリウムイオンが細胞外へ流出することによる。)
  • 過分極(再分極の結果、一時的に静止電位以上の電位差が生じること。ナトリウムポンプなどの働きにより、やがて静止電位に戻る。)
  • 能動輸送(膜を挟んで、低濃度側から高濃度側へ、濃度勾配に逆らう物質の移動。エネルギーを必要とする。)
  • 受動輸送(膜を挟んで、高濃度側から低濃度側へ、濃度勾配に従う物質の移動。エネルギーを必要としない。)
  • チャネル(特定の物質だけを、濃度勾配にしたがって選択的に通す膜タンパク質。)
  • 電位依存性チャネル(電気的な刺激に反応して開閉するチャネル。)
  • 不応期(活動電位の発生直後は、細胞膜内外のナトリウムイオンとカリウムの濃度が、通常とは異なるため、活動電流などの刺激があっても活動電位が発生しない。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【50】興奮の伝導

神経は、複数のニューロン(神経細胞)の軸索(神経繊維)が集まってできている。

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ニューロンの構造

ニューロンの膜電位(細胞膜内外の電位差)が変化した状態(興奮)がニューロンの間を伝わることで、神経は情報を処理する。

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興奮の伝導と伝達

ニューロンの細胞膜上を“興奮”が伝わることを「伝導」、ニューロンからニューロンへ“興奮”が伝わることを「伝達」という。

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興奮の伝導

ニューロン(神経細胞)の細胞膜上では、”興奮“は膜電位の変化として“伝導“する。

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活動電流

興奮部と隣接部分の間に“活動電流”が流れると、それをきっかけに隣接部分の膜電位が変化し、さらに先の隣接部分との間で“活動電流”が流れ…を繰り返すことで“興奮が“伝導”していく。

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興奮の伝導と活動電流

【補足】

  • ニューロン(神経細胞。神経系を構成する基本単位。)
  • 興奮(ニューロンの一部において膜電位が逆転し、“活動電位”が生じている状態。)
  • 興奮の伝導(ニューロンの中を興奮が伝導する。)
  • 興奮の伝達(ニューロン(シナプス前細胞)の神経末端から、隣接するニューロン(シナプス後細胞)へ興奮が伝達する)
  • 膜電位(細胞内外の電位差。
  • 静止電位(平常時の膜電位。通常、細胞外に対して細胞内は、−(マイナス)の電位になってる。)
  • 活動電位(興奮時の膜電位。瞬間的に、細胞外に対して細胞内が、+(プラス)の電位となる。
  • 活動電流(興奮部と、隣接する部分との間で流れる電流。活動電流をきっかけに、興奮部に隣接する部分に新たに活動電位が生じる。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【49】ABCモデル

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頂端分裂組織と伸長成長

 植物は、“芽”の中心にある未分化な細胞(茎頂分裂組織)が盛んに分裂を繰り返すことで、より高く(長く)成長する。

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花の構造とABCモデル

分裂組織の各部分が、“葉”、“がく”、“花弁”、“雄しべ”、“雌しべ”…何に分化するかは、各部で発現する遺伝子の組み合わせで決まる。

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茎頂分裂組織のABCモデル

【補足】

  • 頂芽(茎の先端にある芽。)
  • 側芽(葉の根元や茎の途中にできる芽。脇芽。)
  • 頂端分裂組織(植物の茎や根の先端付近にある組織で、盛んに分裂を繰り返す未分化な細胞の集まり。)
  • 茎頂分裂組織(茎の先端付近にある頂端分裂組織。いわゆる“芽”の中心部にあたる未分化な組織。)
  • 根端分裂組織(根の先端付近にある頂端分裂組織。根冠に覆われている。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【48】被子植物の重複受精

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花の構造

“花”では、雄しべの先端の“葯”には“花粉”が、雌しべの根元の“胚珠”には“胚のう”が、それぞれ作られる。

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被子植物の配偶子形成

雌しべの柱頭に花粉が付着(受粉)すると、花粉から花粉管が伸び始める。花粉の内部では、雄原細胞が分裂して2つの“精細胞(雄性配偶子)”となり、花粉管に導かれて”胚のう(雌性配偶体)“へ向かう。

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被子植物の重複受精

花粉管が胚のうに到達すると、2つの精細胞が、“卵細胞”と“中央細胞”にそれぞれ受精(重複受精)し、”受精卵(胚)”と“胚乳細胞(胚乳)”になる。

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発芽&成長

種子が発芽すると、胚(子葉&幼芽&幼根)は胚乳を栄養分として成長し、植物体(胞子体)となる。

【補足】

  • 核相(核に存在するゲノムの数。ゲノムが一組なら”n(単相)”、ゲノムが二組なら”2n(複相)”と表現する。)
  • 胚のう(種子植物の雌性配偶体。胚のう母細胞が減数分裂した後、さらに3回の核分裂を経てできる。卵細胞1個(n)、助細胞2個(n×2)、反足細胞3個(n×3)、中央細胞1個(n+n)、あわせて7個の細胞から構成される。)
  • 花粉(種子植物の雄性配偶体。花粉母細胞が減数分裂した後、さらに1回の分裂を経てできる。花粉管核(n)と雄原細胞1個(n)で構成される。雄原細胞は受粉後に分裂し、2個の精細胞となる。)
  • 配偶体(単相(n)&多細胞。配偶子を作る植物体。)
  • 配偶子(単相(n)&単細胞。接合/受精して複相に戻る。)
  • 胞子体(複相(2n)&多細胞。胞子を作る植物体。)
  • 胞子(単相(n)&単細胞。胞子体から減数分裂で生じる。分裂して配偶体になる。
  • 核相交代(胞子&配偶体&配偶子の単相世代と、胞子体の複相世代を、交互に繰り返す。)
  • トレニア(アゼトウガラシ科の草本。トレニアでは、花粉管が、“胚のう”の中で卵細胞と隣り合う“助細胞”に誘引されて卵細胞に向かって伸びていくことがわかっている。

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【47】被子植物の配偶子形成

“花”では、雄しべの先端にある“葯”で“花粉”が、雌しべの根元にある“胚珠”で“胚のう”が、それぞれ作られている。

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被子植物の“花”

多くの動物では、減数分裂で作られた単相(n)の”卵細胞(雌性配偶子)”や”精細胞(雄性配偶子)”が、受精(接合)をして複相(2n)の受精卵となる。

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動物の配偶子形成

一方、被子植物では、減数分裂で作られる単相(n)の”胚のう細胞”や”花粉四分子”は、そのまま受精することはない。

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被子植物の配偶子形成

”胚のう細胞”や”花粉四分子”は、単相(n)のままで、さらに分裂を繰り返し、多細胞の”胚のう(雌性配偶体)”や”花粉(雄性配偶体)”となる。

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雌性配偶体(胚のう)

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雄性配偶体(花粉)

【補足】

  • 減数分裂(核相を半減させる細胞分裂。)
  • 核相(核に存在するゲノムの数。ゲノムが一組なら”n(単相)”、ゲノムが二組なら”2n(複相)”と表現する。)
  • 胚のう(種子植物の雌性配偶体。胚のう母細胞が減数分裂した後、さらに3回の核分裂を経てできる。卵細胞1個(n)、助細胞2個(n×2)、反足細胞3個(n×3)、中央細胞1個(n+n)、あわせて7個の細胞から構成される。)
  • 花粉(種子植物の雄性配偶体。花粉母細胞が減数分裂した後、さらに1回の分裂を経てできる。花粉管核(n)と雄原細胞1個(n)で構成される。雄原細胞は受粉後に分裂し、2個の精細胞となる。)
  • 配偶体(単相(n)&多細胞。配偶子を作る植物体。)
  • 配偶子(単相(n)&単細胞。接合/受精して複相に戻る。)
  • 胞子体(複相(2n)&多細胞。胞子を作る植物体。)
  • 胞子(単相(n)&単細胞。胞子体から減数分裂で生じる。分裂して配偶体になる。)
  • 核相交代(胞子&配偶体&配偶子の単相世代と、胞子体の複相世代を、交互に繰り返す。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【46】ショウジョウバエの発生

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心黄卵と表割

ショウジョウバエなど昆虫の卵は、中心部に卵黄が蓄積する「心黄卵」で、「表割」と呼ばれる卵割を行う。

表割では、受精直後に核分裂を繰り返して多核細胞(多核性胞胚)となった後、胚の表面で細胞質分裂が進んで胞胚(細胞性胞胚)となる。

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ショウジョウバエの発生と遺伝子

ショウジョウバエでは、卵原細胞が4回分裂してできる16個の細胞のうち、1つが卵細胞となり、残り15個は保育細胞になる。

保育細胞で転写された母性効果遺伝子(mRNA)が、卵細胞に移動して濃度勾配をつくることで、胚の前後軸が決まる。

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体節の分化

受精すると、卵細胞内の母性効果遺伝子(mRNA)が翻訳され、ビコイドタンパク質やナノスタンパク質の濃度勾配ができる。

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体軸を決める母性効果因子

ビコイドタンパク質とナノスタンパク質の濃度勾配に従って、様々なギャップ遺伝子(ハンチバック、クリュッペル、ジャイアント…)が胚の前後軸に沿って帯状に発現する。

ギャップ遺伝子の濃度勾配に従って、ペアルール遺伝子(イーブンスキップド、フシタラズ…)、さらにセグメントポラリティー遺伝子(エングレイルド…)が帯状に発現し、胚が体節に分かれていく。

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体節に分ける分節遺伝子

各体節では、8種類のホメオティック遺伝子(lab,pd,Dfd,Scr,Antp,Ubx,abd-A,abd-B)が様々な組み合わせで発現する。

ホメオティック遺伝子は、それぞれの体節に特徴的な複数の遺伝子の発現を調節(促進または抑制)する調節遺伝子で、各体節が分化する方向を決めている。

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体節を特徴付けるホメオティック遺伝子

“ホメオティック遺伝子”に変異が起こると、触覚が脚に置換した“アンテナぺデア”や、平均桿のある後胸が翅のある中胸に置換した“バイソラックス”など、体節ごと入れ替わる“ホメオティック突然変異”が起こる。

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ショウジョウバエ変異体いろいろ

【補足】

  • 調節遺伝子(調節遺伝子から作られる“調節タンパク質”は、他の遺伝子の発現を調節(促進または抑制)する。)
  • ホメオティック突然変異(ショウジョウバエの触覚が脚に置換した“アンテナぺデア”や、平均桿のある後胸が翅のある中胸に置換した“バイソラックス”など。体節単位で置き換わる突然変異。)
  • ホメオティック遺伝子(ショウジョウバエのホメオティック突然変異の原因となる遺伝子。体節を特徴付ける様々な遺伝子の“調査遺伝子”として働く。ショウジョウバエの第3染色体に、まとまって存在する。)
  • ホメオボックス(ホメオティック遺伝子に共通する約180塩基対の塩基配列。)
  • ホメオドメイン(ホメオボックスに対応するアミノ酸配列。ホメオティック遺伝子から作られる調節タンパク質の、転写調節領域に結合する部分。)
  • ホックス遺伝子(HOX遺伝子。様々な動物に存在する「ホメオボックスを持つ遺伝子」の総称。ショウジョウバエのホメオティック遺伝子も含まれる。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
  • ワルター•J•ゲーリング(2002).『ホメオボックスストーリー』.東京大学出版会

【45】背腹軸の決定

イモリの未受精卵には、卵黄の他、母親の細胞が合成した様々なmRNAやタンパク質(母性効果因子)が蓄えられている。 

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細胞質決定因子

①卵に精子が進入すると、表層が回転し、精子進入点の反対側に灰色三日月(環)が現れる。

この時、微小管とモータータンパク質の働きにより、②植物極付近のディシェベルドタンパク質(母性効果因子)も帯域に移動する。

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背腹軸の決まり方①②③④

③ディシェベルドタンパク質が移動した先の帯域(背側中胚葉)では、βカテニン(合成&分解を繰り返している)の分解が阻害されて蓄積する。

βカテニンは、胞胚期までに核に移動してノーダル遺伝子が発現する。

もともと帯域では、植物極側のVgeTなどの母性効果因子の影響でノーダル遺伝子が発現しているので、背側から腹側にかけてノーダルタンパク質の濃度勾配ができる。

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背腹軸の決まり方③④

④高濃度のノーダルタンパク質によって、背側中胚葉(原口背唇部・予定脊索域)で、ノギン遺伝子やコーディン遺伝子が発現する。

⑤ノギンタンパク質やコーディンタンパク質は、原腸胚の背側で“背側中胚葉”から隣り合う“背側外胚葉”に移動する。

⑥外胚葉の細胞は、細胞膜の受容体がBMP(タンパク質)と結合すると“表皮”に分化し、BMPと結合しなければ“神経”に分化する。

ノギン&コーディンは、BMP(タンパク質)と受容体との結合を阻害するので、ノギン&コーディンが移動した先の背側外胚葉は“神経”に分化する。

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背腹軸の決まり方④⑤⑥

【補足】

  • 母性効果因子(未受精卵が、母親の細胞から貰うmRNAやタンパク質。イモリ胚では、ディシェベルドタンパク質、βカテニンmRNA、VegT mRNA、Vg1mRNAなど。
  • 胚性遺伝子(胚/受精卵の遺伝子。母由来の遺伝子&父由来の遺伝子。)

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イモリ胚の母性効果因子

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

【44】局所生体染色法

 イモリやカエルの胚に、中性赤、ナイル青、ビスマルクブラウン、ヤヌス緑などの色素を染み込ませた小さな寒天片を押しつけておくと、寒天片が接した部分だけを着色できる。

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局所生体染色①

着色部を追跡することで、胚のどの部分が、どんな組織や器官に分化するのか確かめることができる。

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局所生体染色②

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局所生体染色③


局所生体染色に利用できる色素には、いくつかの条件がある。

  • 染色部位の周囲へ拡散しない。(染色した“局所”の分化する先を知りたい。)
  • 細胞の活動に影響を与えない。(染色した胚が死んでしまったり、染色の有無が発生の過程に影響してはならない。)
  • 細胞内で分解されない。(染色した後に“変色”しない。)

フォークト(1929年)は、局所生体染色によって、イモリ胚の原基分布図(予定運命図)を描いた。

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原基分布図(予定運命図)

フォークトの原基分布図(予定運命図)は、シュペーマンの交換移植実験、“形成体”と“誘導”、中胚葉誘導、母性効果遺伝子と胚性遺伝子など、様々な研究につながっている。

【補足】

  • 中性赤(ニュートラルレッド。生体に無害な色素。生細胞に取り込まれ、細胞質中の顆粒やミトコンドリアを染色する。死細胞では核を染色する。
  • ナイル青(ナイルブルー。生体に無害な色素。染色体に結合する。
  • ビスマルクブラウン(生体に無害な色素。酸性ムチンと結合する。)
  • ヤヌス緑(ヤヌスグリーン。生体に無害な色素。ミトコンドリアを染色する。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
  • 富士フィルム和光純薬株式会社(2019). https://labchem-wako.fujifilm.com/jp

【43】眼の形成

“眼”の「網膜&視神経」と「水晶体(レンズ)」と「角膜」は、“誘導の連鎖”によって段階的に造られる。

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眼の形成

①「原口背唇部」(背側の中胚葉)が陥入すると、「原口背唇部」自体は「脊索」に分化する一方で、背側の外胚葉から「神経管」を誘導する。

②「神経管」(背側の外胚葉)の一部が膨らんで「眼胞」になると、「眼胞」自体は「眼杯」→「網膜」に分化する一方で、表皮(外胚葉)を「水晶体(レンズ)」に誘導する。

③「水晶体(レンズ)」は、さらに表皮から「角膜」を誘導する。

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誘導の連鎖

【関連記事】

soilshop.hatenablog.com

 【補足】

  • 内胚葉(胞胚期の植物半球の細胞から、将来は消化管の内壁に分化する。)
  • 中胚葉(胞胚期の帯域の細胞から、将来は骨や筋肉などに分化して、内胚葉や外胚葉を“裏打ち”する。)
  • 外胚葉(胞胚の動物半球の細胞から、将来は神経に分化する。神経にならなかった外胚葉は、表皮に分化する。)
  • 形成体(発生の過程で、隣接する胚葉を、特定の組織へ分化させる働きを持つ。オーガナイザー。)
  • 誘導(発生の過程で、隣接する胚葉を、特定の組織へ分化させる働き。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂