SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【3】細胞内共生

原核生物から真核生物への進化について、以前の教科書には“細胞内共生説“と“膜進化説”が併記されていた。今では「細胞内共生」を支持する”証拠”がいくつもあり、”膜進化説“はすっかり廃れてしまった。

 

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ミトコンドリアの起源

嫌気性細菌が好気性細菌を取り込む様子は、マクロファージや好中球の「食作用」に通じる。細胞膜で包み込むことで、細胞内に「内なる外」を作り出して細胞内に取込む現象を「エンドサイトーシス(Endocytosis)」という。膜一枚隔てることで、体内?に取り込んだ“非自己”との間に一線を引こうとする点では、多細胞生物のヒトも、消化管という「内なる外」を持っている。

一方で、「細胞内共生」で解明されたのは”ミトコンドリアや葉緑体の起源“であって、真核細胞ならではの”核膜“が、進化の過程でどのようにして獲得されたのかについては(図では“膜進化”のように描いているけれども・・・)、実はまだよくわかっていない。

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葉緑体の起源

「葉緑体」の起源について、現生の「シアノバクテリア」に近い光合成・原核生物というのは「陸上植物(緑色植物)」の葉緑体の話。藻類(ずっと水中で進化してきた光合成生物たち)の葉緑体は、光合成色素の種類、包膜の数やチラコイド膜の配置などバリエーション豊富で、進化の長い歴史の中で「細胞内共生」が何度も起きてきた(今も新たに起きている)現象であることがわかってきた。

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【補足】

『生物基礎』

  • 細胞内共生説の3つの根拠(細胞内共生の3つの痕跡)
  • エンドサイト-シス(膜で包んで細胞の“中へ”)
  • 原核生物の染色体は核膜に包まれていない。(→核様体)
  • 真核生物の染色体は核膜に包まれている。(→核)
  • シアノバクテリア(藍色細菌。緑色植物の葉緑体と同じく、光合成色素“クロロフィルa”をもつ。)
『生物』
  • 葉緑体の構造(二重包膜・チラコイド&ストロマ)
  • ミトコンドリアの構造(二重包膜・クリステ&マトリックス)
  • 酸素を使わない呼吸(嫌気呼吸)よりも、酸素を使う呼吸(好気呼吸)の方が、同量のグルコースから、より多くのATPが手に入る。
  • 5界説
  • 真核生物(原生生物)の8つの系統群

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店