SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【21】真核生物のDNA複製

DNAをつくる“ヌクレオチド鎖”には方向がある。2本の“ヌクレオチド鎖”は、互いに逆向きに組み合わさって“二重螺旋構造”をつくっている。

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DNAの構造

DNAは、間期のS期(DNA合成期)に”こっそり“と複製されている。間期には染色体(DNA&タンパク質)が凝集していないため、DNAが複製されて”倍加“している様子を観察することは難しい。

 

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真核生物のDNA複製

DNAポリメラーゼ(DNA合成酵)は、先に複製開始点に取り付いた“プライマー( RNAの短い断片)”の3‘末端に結合し、プライマーの3’末端に新たなヌクレオチドを付加していく。DNAポリメラーゼは、新たなヌクレオチドを“3’末端”にしか付加できないため、ヌクレオチド鎖は必ず“5‘末端→3’末端”の方向に伸長することになる。

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DNA複製

【補足】

  • ヒストン(DNAとともに“染色体”を構成するタンパク質。真核生物のDNAは、タンパク質“ヒストン”に巻き取られている。DNAが”負の電荷“を、ヒストンが”正の電荷“をもち、安定した構造“ヌクレオソーム”となる。)
  • ヌクレオソーム(DNAが、タンパク質“ヒストン”に巻き取られた構造。一つのヒストンに、146塩基対のDNAが巻き取られている。
  • DNAヘリカーゼ(DNAの二重螺旋を“ほどく”酵素。)
  • DNAポリメラーゼ(ヌクレオチド鎖の“3‘末端”に、新たなヌクレオチドを付加する“DNA合成酵素”。プライマーを“5‘末端”側から分解する“ RNA分解酵素”でもある。)
  • DNAリガーゼ(DNAのヌクレオチド鎖の3’末端と5‘末端を連結する酵素。)
  • プライマー(DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖しか伸長できない。先に短い RNAが鋳型ヌクレオチドに結合し、DNAポリメラーゼが結合するためのプライマー“釣針”となる。)
  • デオキシリボヌクレオチド3リン酸(ヌクレオチド鎖の材料となる。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)をそれぞれ構成要素とするdATP、dTTP、dGTP、dCTPの四種類がある。いずれも2個のリン酸が外れてヌクレオチド鎖の3’末端に結合する。)
  • 複製フォーク(DNA複製の際、二重螺旋がほどけて“二又のフォーク”の様な姿となる。)
  • リーディング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の根元に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
  • ラギング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の先端に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。
  • 岡崎フラグメント(ラグング鎖が伸長する際に、断続的に作られる短いヌクレオチド鎖。DNAリガーゼによって連結され、長いヌクレオチド鎖になる。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂