SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【71】すみ分け&食い分け

普段、アユのいない川の中流域では‥。

オイカワは、水の流れが速い川の中央部の”瀬”で、主に藻類を食べて暮らしている。

カワムツは、水の流れが緩やかな川岸近くの”淵”で、主に昆虫を食べて暮らしている。

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すみ分け&食い分け

夏になると、上流域に暮らしていたアユが、産卵のために中流域から下流域にやってくる。

夏の中流域では、「瀬で藻を食べたいオイカワ」と「淵で昆虫を食べたい”カワムツ」と「瀬で藻を食べたいアユ」が、何とか折り合いをつけて生きていかなければならない。

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すみ分け

餌や生活空間などの”生態的地位(ニッチ)”が重なり合うアユ、オイカワ、カワムツは、餌を変えたり(食い分け)、生活場所を変えたり(すみ分け)することで、互いに少しずつ我慢しながら夏をやり過ごす。

【補足】

  • オイカワ(コイ科/Opsariichthys platypus/追河。川の中流域に生息する。
  • カワムツ(コイ科/Nipponocypris temminckii/川鯥川の上流域から中流域にかけて生息する。
  • アユ(キュウリウオ科/Plecoglossus altivelis/鮎。川の下流域で産卵し、稚魚は河口付近や河口近くの海で成長し、成長すると川の上流域で暮らすようになる。夏になると、中流域から下流域に移動し、砂利質の川底に産卵する。)
  • 生態学的地位/ニッチ(その生物の栄養段階や、利用する”食料”、”採餌場所”、”繁殖場所”、”生活空間”、”温度”、”降水量”など、生態系に占める位置。)
  • 基本ニッチ(生物が、他の生物との競争などが無く、自由に資源を利用できる状況における、その生物に想定される最も広い範囲の”生態的地位/ニッチ”。)

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    資源利用曲線(基本ニッチ)
  • 実現ニッチ(実際の生態系では、それぞれの生物の”基本ニッチ”は少しずつ重なりあう。”種間競争”が起こったり、”すみ分け”&”食い分け”などの我慢を強いられるために、生物が実際に利用できる資源は、本来の”基本ニッチ”よりも狭い”実現ニッチ”に落ち着く。)

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    資源利用曲線(実現ニッチ)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
  • 松沢陽士(2012).『川魚の飼育と採集を楽しむための本』.学研教育出版