SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【74】最終収量一定則

植物は、光や水、土壌中の栄養塩類などの資源を利用して有機物を合成すること(光合成&窒素同化)で、成長する。

個体群密度が低いと、植物は周囲の資源を充分に利用して多くの有機物を合成できるので、より速く、より大きく成長できる。

個体群密度が高いと、植物は近くの個体と資源を奪い合うことになり、有機物を充分に合成できないので、成長は遅れ、大きくは成長できない。

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個体あたりの収量変化

そのため、個体あたりの収量(乾燥重量)の差は、同じ大きさの種子や苗から栽培を始めても、日がたつにつれて徐々に広がっていく。

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個体あたりの収量変化

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面積あたりの収量変化

一方、面積あたりの収量(乾燥重量)の差は、日がたつにつれて徐々に小さくなる。

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面積あたりの収量変化

個体群密度が低いと「少数の大きい個体」を、個体群密度が高いと「多数の小さい個体」を収穫できるので、個体群密度に関わらず、最終的な収量はほぼ一定になる。(最終収量一定の法則)

【補足】

  • 光合成(光エネルギーを利用して、水と二酸化炭素からグルコース(有機物)を合成するはたらき。酸素を放出する。)
  • 窒素同化(ATPの化学エネルギーを利用して、アンモニウムイオンと有機酸からアミノ酸(有機窒素化合物)を合成するはたらき。アミノ酸からは、さらにヌクレオチドやクロロフィルなどの有機窒素化合物が合成される。)
  • 環境抵抗(個体群密度の上昇にともなって深刻化する“食料や日照量、生活空間などの不足”、“遺骸や排泄物などの増加”、“感染症の蔓延”など、個体群の成長を妨げる様々な作用のこと。)
  • 密度効果(環境抵抗によって、生物の形態や行動、増殖率などが変化すること。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
  • 斎藤員郎(1992).『生物圏の科学』.共立出版