SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【35】硬葉樹林と雨緑樹林

砂漠(サハラ砂漠とピラミッドとラクダ?)、サバンナ(灌木とライオン家族とシマウマの群れ?)、ステップ(大草原と遊牧民?)、熱帯多雨林(アマゾン河とジャングル?)・・・など、世界のバイオーム(生物群系)の中でも、硬葉樹林(地中海性気候)と雨緑樹林(熱帯モンスーン気候)は、ややイメージしづらい。

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気候とバイオーム

大まかには、赤道付近(赤道低圧帯)では低気圧が発達して年中雨が降るので「熱帯多雨林」に、中緯度地域(中緯度高圧帯)では高気圧が発達して乾燥するので「砂漠」になる。 

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世界のバイオーム

地球の地軸は23.4度傾いているので、”赤道低圧帯”と”中緯度高圧帯”は、夏は高緯度側に、冬は低緯度側に”ずれる”。

そのため北半球では、夏には「熱帯多雨林」の北側(高緯度側)にあたる「雨緑樹林」に多く雨が降り、「砂漠」の北側(高緯度側)にあたる「硬葉樹林」が乾燥する。逆に、冬は「雨緑樹林」は乾季となり、「硬葉樹林」にはそこそこ雨が降る。

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北半球の大気循環

「雨緑樹林」では、夏の雨季は光も水も豊富なので森林が発達し、冬の乾季は光も水も乏しいので落葉する。

「硬葉樹林」では、夏は光は豊富でも水が不足し、冬は光は不足でも水はそこそこ手に入るので、乾燥に耐えられるクチクラの発達した小さな硬い葉を一年中付けている。

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北半球の夏(南半球の冬)

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春&秋

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北半球の冬(南半球の夏)

【補足】

  • バイオーム(生物群系/地域ごとの生態系を構成する生物のまとまり。気温や降水量、季節の有無など、気候の違いによって、さまざまなバイオームがある。植物は簡単に移動できず気候の影響が大きいので、バイオームには植生を反映した「照葉樹林」や「夏緑樹林」などの名称が多い。)
  • 硬葉樹林(夏の乾燥に耐えるため&雨の降る冬でも光合成を続けるため、硬くて小さい葉をつける常緑樹が多く見られるバイオーム。夏に乾燥する地中海性気候の地域に広がる。地中海沿岸ではオリーブやコルクガシや月桂樹、オーストラリアではユーカリなど、地域ごとの植生は異なる。)
  • 雨緑樹林(熱帯でも、チークやラワンなど落葉広葉樹が多く見られるバイオーム。乾季に落葉して林床まで光が届くので、常緑樹の多い熱帯多雨林よりも、草本層が発達する。)
  • 低気圧(上昇気流が発生して、周辺より気圧が低い状態。雨が降ることが多い。上昇した大気は、上空で膨張して温度が下がり、大気中の水分が結露して雨雲が発達する。)
  • 高気圧(下降気流が発生して、周辺より気圧が高い状態。晴れることが多い。下降した大気は、地表付近で圧縮して温度が上がり乾燥する。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂