SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

2021-01-01から1年間の記事一覧

【89】ターンオーバー

多細胞生物の個体を構成する細胞や、細胞を構成する有機物は、常に分解されながら合成されている。新しい細胞や有機物が、古い細胞や有機物と入れ替りながら、”同じ個体”や”同じ細胞”として生きている。 上皮幹細胞 皮膚の最も外側の角質層は、死細胞が積み…

【88】小腸上皮細胞

小腸の蠕動&グルコース吸収 小腸の構造 小腸上皮細胞 小腸上皮細胞&グルコース吸収 【補足】 小腸(胃と大腸の間にあたる消化管。内壁には多数の突起(絨毛)がある。グルコースやアミノ酸など様々な栄養素を血液中に吸収する。) 絨毛(小腸の粘膜側にあ…

【87】コムギの進化

種子植物は、減数分裂で配偶子(卵細胞&精細胞)を作り、配偶子が受精して受精卵ができる。野生コムギ(2n=14)では、減数分裂で配偶子(n=7)を作り、配偶子が受精して受精卵(2n=14)ができる。 コムギの核相交代 二倍体の個体(2n)どうしで交雑した場合…

【86】遺伝子頻度

ハーディ・ワインベルグの法則 表現型の分離比 vs 遺伝子頻度 遺伝子頻度の計算 【補足】 表現型(個体がもつ形態や性質などの特徴。) 遺伝子型(それぞれの個体の表現型を決める対立遺伝子の組合せ。) 遺伝子頻度(ある遺伝子が、集団内の全ての対立遺伝…

【85】小胞体とゴルジ体

ゴルジ体(層板エスカレーターモデル) ゴルジ体(チューブ移動モデル) 小胞体→ゴルジ体 2種類の小胞体 【補足】 リボソーム(mRNAの塩基配列をもとにアミノ酸を連結し、ポリペプチド鎖を合成する細胞小器官。rRNAとタンパク質の複合体。) 粗面小胞体(リ…

【84】紡錘体&モータータンパク質

ダイニン&キネシン 細胞分裂&紡錘体 ダイニン&微小管 キネシン&微小管 【補足】 微小管(細胞骨格の中で“最も太い”けれど“微小”管。タンパク質“チューブリン”が螺旋状に重合した繊維。) ダイニン(微小管の表面を、+端からー端に向かって歩くモーター…

【83】DNA複製フォーク

DNAポリメラーゼは、“既にあるヌクレオチド鎖(プライマー)”の3’末端に“新たなヌクレオチド”を付加することで、新生鎖を合成していく。 複製フォーク 複製フォーク 体細胞分裂 実際の細胞内では、リーディング鎖を合成するDNAポリメラーゼと、ラギング鎖を…

【82】左心室の容積と内圧変化

心臓の拍動 ヒトの心臓は、左右の心室が連動して収縮することで、血液を肺(肺循環)と全身(体循環)へ送り出す。 体循環&肺循環 心臓の右半分(右心房&右心室)は、体循環から戻ってくる静脈血を肺循環に送り出している。 心臓の左半分(左心房&左心室…

【81】細胞周期とDNA合成

細胞周期 細胞周期(G1期・S期・G2期・M期)の中でも、M期(分裂期)の細胞だけは、染色体が凝集していることから、顕微鏡観察で見分けることができる。 細胞周期の長さ(細胞数が2倍に増える時間)が分かっていれば、顕微鏡観察した細胞数の比率から、M期…

【80】競争的阻害と非競争的阻害

競争的阻害と非競争的阻害 “競争的阻害剤”は、酵素の活性部位を基質と奪い合うことで、酵素反応を阻害する。 “非競争的阻害剤”は、酵素の活性部位以外の部分(アロステリック部位)に結合することで、活性部位も含めて酵素タンパク質の立体構造を変化させ、…

【79】ミカエリス定数

ミカエリス定数(Km)は、酵素と基質の”結合しやすさ”を表している。 ミカエリス定数(Km)は、酵素基質複合体の濃度[ES]に対する酵素濃度[E]と基質濃度[S]の割合なので、ミカエリス定数(Km)が”小さい”ほど、酵素と基質が”結合しやすい”(酵素-基質…

【78】酵素反応と基質濃度

反応時間と生成物量の関係 酵素の濃度[E]を変えずに、基質濃度[S]だけを変えると、“化学平衡に達するまでの時間”と“最終的な生成物量”が変化する。 全ての酵素が酵素-基質複合体となる程度まで十分に基質濃度[S]が高ければ、基質濃度[S]を多少変えて…

【77】酵素反応と酵素濃度

酵素反応と酵素濃度[E] 酵素反応と基質濃度[S] 基質濃度を変えずに、酵素の濃度だけを変えると、生成物の量は変わらずに、反応速度だけが変化する。 酵素濃度[E]×1 酵素濃度[E]×2 酵素濃度[E]×1/2 【補足】 代謝(生体内の化学反応。例えば”光合成…

【76】酵素反応と化学平衡

酵素反応の時間と生成物量の関係 酵素反応が進むと、時間に伴って生成物量[濃度]が上昇するけれども、徐々に上昇は緩やかになり、やがて止まる。 生成物量/反応時間 一見すると反応が停止した様に見えるけれど、可逆的な酵素反応では、正反応(基質→生成…

【75】窒素同化

生物は、多数のアミノ酸が結合したタンパク質、DNAやRNAなどの核酸、光合成色素など、様々な有機窒素化合物を必要としている。 窒素同化に関わる物質 植物は、土壌中の“アンモニウムイオン”や“硝酸イオン”を取り込み、窒素同化によって、様々な有機窒素化合…

【74】最終収量一定則

植物は、光や水、土壌中の栄養塩類などの資源を利用して有機物を合成すること(光合成&窒素同化)で、成長する。 個体群密度が低いと、植物は周囲の資源を充分に利用して多くの有機物を合成できるので、より速く、より大きく成長できる。 個体群密度が高い…

【73】生物濃縮

生物の体内で分解されにくく、体外へも排出されにくい物質は、生物の体内に蓄積しやすい。 そのような物質が、食物連鎖を経て、高次の消費者になるほど体内に高濃度で蓄積する現象を“生物濃縮”という。 生物濃縮 例えば、フグ毒の“テトロドトキシン”は、もと…

【72】淡水湖の季節変化

淡水湖の表層では、春と秋に生じる対流が、深層に蓄積した栄養塩類を表層に供給することで、藻類が大発生する。 淡水湖の季節変化 淡水湖の季節変化 〈冬〉深層(4℃)に対して、表層の水温が低いので、対流が起こらない。深層から表層に栄養塩類が供給されず…

【71】すみ分け&食い分け

普段、アユのいない川の中流域では‥。 オイカワは、水の流れが速い川の中央部の”瀬”で、主に藻類を食べて暮らしている。 カワムツは、水の流れが緩やかな川岸近くの”淵”で、主に昆虫を食べて暮らしている。 すみ分け&食い分け 夏になると、上流域に暮らして…

【70】8の字ダンス

ミツバチは、餌場(花蜜や花粉の豊富な花畑)の位置を“ダンス”で仲間に知らせている。 8の字ダンス 餌場から巣に帰ってきた働きバチは、“暗闇&垂直”の巣盤の表面で、巣から見た餌場の“方角&距離”を、仲間たちに伝えなければならない。 養蜂箱の構造 そこ…

【69】伸長成長&肥大成長

伸長成長&肥大成長 植物ホルモンの”ジベレリン”や”ブラシノステロイド”、”エチレン”は、細胞膜のすぐ内側にある微小管(繊維状のタンパク質)の配置を決める。 微小管の配置が決まると、細胞壁を作るセルロース(繊維状の多糖類)の配置が決まる。 次いでオ…

【68】重力屈性

細胞分裂&伸長成長 茎から根に移動してきた“オーキシン”は、根冠で折り返して皮層を遡り、根冠からやや上部の細胞の成長を促進する。 根端でのオーキシンの極性移動 根冠のコルメラ細胞では、重力に従ってアミロプラストが沈降すると、オーキシンを輸送する…

【67】光屈性

細胞分裂&伸長成長 植物ホルモン“オーキシン”は、茎の先端で合成され、やや下部の細胞の成長を促進する。 オーキシンの極性移動 オーキシンは、膜タンパク質“AUX”を通って細胞内に取り込まれ、膜タンパク質“PIN”を通って細胞外へ放出されるので、植物体の中…

【66】アメフラシ&鋭敏化

アメフラシ(軟体動物/腹足綱/ウミウシ類)の“水管“を刺激すると”鰓“を引っ込める。(反射) さらに、”水管”を刺激し続けると、やがて“鰓”を引っ込めなくなる。(慣れ) ところが、“水管”を刺激すると同時に、“尾”も刺激すると、“水管”へ弱い刺激を与えるだ…

【65】アメフラシ&慣れ

アメフラシ(軟体動物/腹足鋼/ウミウシ類)の“水管“を刺激すると”鰓“を引っ込める。 アメフラシの“鰓引っ込め反射” ”鰓引っ込め反射”は、"水管”からの感覚ニューロンと”鰓”に向かう運動ニューロンの間のシナプスを、興奮が”伝達”することで起こる。 シナプス…

【64】色素胞

体色変化と色素胞(黒色素胞) メダカは、真皮に4種類の色素胞(黒色素胞,黄色素胞,虹色素胞,白色素胞)を使い、周囲の明るさや色彩に合わせて体色を変えている。 色素胞と色素顆粒 色素胞(色素細胞)の内部には多数の色素顆粒があり、微小管に沿って色…

【63】キモグラフ

ミオグラフ&キモグラフ “キモグラフ”では記録用の円筒が低速で回転するので、連続して刺激を与えながら、“刺激の頻度”と筋収縮の関係を記録できる。 単収縮 1秒間に1回程度の刺激を与えると、約100ミリ秒(0.1秒)間ほどの短い筋収縮(単収縮)が起こる。 …

【62】ミオグラフ

ミオグラフ&神経筋標本 神経から筋肉に興奮が伝達されると、10mS(ミリ秒)程の“潜伏期”の後、50〜100mS(ミリ秒)程かけて筋肉が収縮し、さらに(荷重の大きさによるものの)50〜100mS(ミリ秒)程かけて弛緩する。 “ミオグラフ”では記録用の円筒が高速で…

【61】興奮収縮連関

筋原繊維の構造 興奮収縮連関 筋収縮に関わる物質 ①ミオシン頭部がアクチンに結合できない...。 ②カルシウムイオンがトロポニンに結合すると…。 ミオシン頭部がアクチンフィラメントに結合する。 ④ミオシンがアクチンを手繰り寄せる。 ⑤ミオシン頭部にATPが…

【60】滑り説

筋肉>筋繊維(筋細胞)>筋原繊維 筋繊維(筋細胞)の内部にある”筋原繊維“が収縮すると、筋繊維(筋細胞)が収縮し、筋繊維(筋細胞)の束である筋肉全体も収縮する。 サルコメア(筋節) 筋原繊維は、太い繊維(ミオシンフィラメント)と細い繊維(アクチ…