SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

『生物』

【101】日長と花芽形成

植物にとって“繁殖”への準備開始を意味する“花芽形成”は超重要イベントである。“花芽形成”の指標として日長(あるいは連続暗期の長さ)を利用することで、同じ地域に生息する同種個体の繁殖時期を揃えることができる。 日長と花芽形成(短日植物) 日長と花…

【100】脳の進化

ヒトの脳 脳の進化 脊椎動物(脊索動物)の神経系は、神経管が枝分かれしてできる。神経管の前端が膨らんで”脳”になり、さらに”脳”が複雑に折りたたまれて、大脳、中脳、小脳、間脳、延髄に分化する。 動物の系統&脳 動物の系統ごとに、生活スタイルに応じ…

【99】膝蓋腱反射

膝蓋腱反射 床に足が付かないように腰掛け、膝関節が自由に動く状態で膝の下をたたくと、無意識に膝から下が跳ね上がる。これは、①膝下をたたかれることで、②膝関節を伸ばす伸筋が伸ばされたことを筋紡錘(感覚器)が刺激として受容し、③感覚神経を介して脊…

【98】気孔の開閉

孔辺細胞のフォトトロピン(光受容体)が青色光を受容すると、細胞内のK+濃度が上昇して細胞内の浸透圧が増加し、孔辺細胞が吸水して気孔が開く。一方、乾燥などでアブシシン酸(植物ホルモン)が増加すると、細胞内のK+濃度が低下して細胞内の浸透圧が減…

【97】DNA複製装置

DNAの複製は、“複製起点(レプリケーター)”に結合した2つの“DNAヘリカーゼ”が、それぞれ複製起点の両方向にDNAの二重らせんを“ほどき”ながら進んでいく。 複製起点 二重らせんが2本のヌクレオチド鎖にほどかれると、それぞれを鋳型鎖として、DNAポリメラ…

【96】筋節の長さ&張力

筋節(サルコメア)の構造 筋節(サルコメア)の長さは、アクチンフィラメント(細い繊維)とミオシンフィラメント(太い繊維)の位置関係で決まる。 張力の大きさ/筋節の長さ 筋節の長さと張力の関係 ① 最も弛緩した状態では、アクチンフィラメントとミオ…

【95】聴覚&定位

夜行性の鳥であるメンフクロウは、特有の神経回路を使って左右の耳に音が到達するわずかな時間差を検出し、餌となるネズミの位置を特定している。 聴覚&定位 音源の方向に応じて、メンフクロウが左右の耳で音を受容するまでの時間や、左右の耳(の聴細胞)…

【94】染色体〜DNA

染色体〜DNA 染色体〜DNA 染色体の複製(DNAの合成) ゲノム 【補足】 染色体(真核生物の核にあり、酢酸オルセインや酢酸カーミンなどの染色液で染色される構造体。普段は糸状で、核内に分散しているが、分裂期には棒状に凝集する。分裂期の“X形”の染色体…

【93】カサノリの接木

カサノリは、高さ5cm程の単細胞性の緑藻類で、”かさ”を切り落としても再生する能力がある。 カサノリの再生 カサノリ(単細胞性の緑藻類)は、仮根の部分に核があり、核内でDNAから転写されたmRNAは、細胞質中を原形質流動によって移動していく。そのため、…

【92】キネシン&微小管

キネシン&微小管 モータータンパク質〈キネシン〉は、ATPを消費しながら、微小管の−(マイナス)端から+(プラス)端に向かって歩いていく。 モータータンパク質&細胞分裂 モータータンパク質&細胞分裂 真核生物の細胞分裂(有系分裂)では、両極から伸…

ブログ移転のお知らせ

〈SOIL-SHOP生物教材製作所/自習室〉は、高校生物を学ぶ全ての方を対象に、「生物」「生物基礎」の予習&復習&自習のための板書&動画を紹介するブログです。 新型コロナウイルス感染症の影響による2020年3月からの全国一斉臨時休校、その後の自宅学習やオ…

【91】セカンドメッセンジャー

アドレナリンやインスリンなどのペプチドホルモンは、高分子のために細胞膜を通過できない。 そこで、ペプチドホルモンなどがリガンド(受容体に特異的に結合する物質)として細胞膜の受容体に結合すると、細胞内ではcAMP(サイクリックAMP)やカルシウムイ…

【90】次世代シークエンサー

1977年にフレデリック・サンガーによって、DNAの塩基配列を読み取る方法(サンガー法/ジデオキシ法)が開発された。 1990年に始まった〈ヒトゲノム計画〉では、ヒトの核DNAの全塩基配列を、15年程かけて読み取る計画だったが、塩基配列を自動で読み取る装置…

【89】ターンオーバー

多細胞生物の個体を構成する細胞や、細胞を構成する有機物は、常に分解されながら合成されている。新しい細胞や有機物が、古い細胞や有機物と入れ替りながら、”同じ個体”や”同じ細胞”として生きている。 上皮幹細胞 皮膚の最も外側の角質層は、死細胞が積み…

【88】小腸上皮細胞

小腸の蠕動&グルコース吸収 小腸の構造 小腸上皮細胞 小腸上皮細胞&グルコース吸収 【補足】 小腸(胃と大腸の間にあたる消化管。内壁には多数の突起(絨毛)がある。グルコースやアミノ酸など様々な栄養素を血液中に吸収する。) 絨毛(小腸の粘膜側にあ…

【87】コムギの進化

種子植物は、減数分裂で配偶子(卵細胞&精細胞)を作り、配偶子が受精して受精卵ができる。野生コムギ(2n=14)では、減数分裂で配偶子(n=7)を作り、配偶子が受精して受精卵(2n=14)ができる。 コムギの核相交代 二倍体の個体(2n)どうしで交雑した場合…

【86】遺伝子頻度

ハーディ・ワインベルグの法則 表現型の分離比 vs 遺伝子頻度 遺伝子頻度の計算 【補足】 表現型(個体がもつ形態や性質などの特徴。) 遺伝子型(それぞれの個体の表現型を決める対立遺伝子の組合せ。) 遺伝子頻度(ある遺伝子が、集団内の全ての対立遺伝…

【85】小胞体とゴルジ体

ゴルジ体(層板エスカレーターモデル) ゴルジ体(チューブ移動モデル) 小胞体→ゴルジ体 2種類の小胞体 【補足】 リボソーム(mRNAの塩基配列をもとにアミノ酸を連結し、ポリペプチド鎖を合成する細胞小器官。rRNAとタンパク質の複合体。) 粗面小胞体(リ…

【84】紡錘体&モータータンパク質

ダイニン&キネシン 細胞分裂&紡錘体 ダイニン&微小管 キネシン&微小管 【補足】 微小管(細胞骨格の中で“最も太い”けれど“微小”管。タンパク質“チューブリン”が螺旋状に重合した繊維。) ダイニン(微小管の表面を、+端からー端に向かって歩くモーター…

【83】DNA複製フォーク

DNAポリメラーゼは、“既にあるヌクレオチド鎖(プライマー)”の3’末端に“新たなヌクレオチド”を付加することで、新生鎖を合成していく。 複製フォーク 複製フォーク 体細胞分裂 実際の細胞内では、リーディング鎖を合成するDNAポリメラーゼと、ラギング鎖を…

【81】細胞周期とDNA合成

細胞周期 細胞周期(G1期・S期・G2期・M期)の中でも、M期(分裂期)の細胞だけは、染色体が凝集していることから、顕微鏡観察で見分けることができる。 細胞周期の長さ(細胞数が2倍に増える時間)が分かっていれば、顕微鏡観察した細胞数の比率から、M期…

【80】競争的阻害と非競争的阻害

競争的阻害と非競争的阻害 “競争的阻害剤”は、酵素の活性部位を基質と奪い合うことで、酵素反応を阻害する。 “非競争的阻害剤”は、酵素の活性部位以外の部分(アロステリック部位)に結合することで、活性部位も含めて酵素タンパク質の立体構造を変化させ、…

【79】ミカエリス定数

ミカエリス定数(Km)は、酵素と基質の”結合しやすさ”を表している。 ミカエリス定数(Km)は、酵素基質複合体の濃度[ES]に対する酵素濃度[E]と基質濃度[S]の割合なので、ミカエリス定数(Km)が”小さい”ほど、酵素と基質が”結合しやすい”(酵素-基質…

【78】酵素反応と基質濃度

反応時間と生成物量の関係 酵素の濃度[E]を変えずに、基質濃度[S]だけを変えると、“化学平衡に達するまでの時間”と“最終的な生成物量”が変化する。 全ての酵素が酵素-基質複合体となる程度まで十分に基質濃度[S]が高ければ、基質濃度[S]を多少変えて…

【77】酵素反応と酵素濃度

酵素反応と酵素濃度[E] 酵素反応と基質濃度[S] 基質濃度を変えずに、酵素の濃度だけを変えると、生成物の量は変わらずに、反応速度だけが変化する。 酵素濃度[E]×1 酵素濃度[E]×2 酵素濃度[E]×1/2 【補足】 代謝(生体内の化学反応。例えば”光合成…

【76】酵素反応と化学平衡

酵素反応の時間と生成物量の関係 酵素反応が進むと、時間に伴って生成物量[濃度]が上昇するけれども、徐々に上昇は緩やかになり、やがて止まる。 生成物量/反応時間 一見すると反応が停止した様に見えるけれど、可逆的な酵素反応では、正反応(基質→生成…

【75】窒素同化

生物は、多数のアミノ酸が結合したタンパク質、DNAやRNAなどの核酸、光合成色素など、様々な有機窒素化合物を必要としている。 窒素同化に関わる物質 植物は、土壌中の“アンモニウムイオン”や“硝酸イオン”を取り込み、窒素同化によって、様々な有機窒素化合…

【74】最終収量一定則

植物は、光や水、土壌中の栄養塩類などの資源を利用して有機物を合成すること(光合成&窒素同化)で、成長する。 個体群密度が低いと、植物は周囲の資源を充分に利用して多くの有機物を合成できるので、より速く、より大きく成長できる。 個体群密度が高い…

【73】生物濃縮

生物の体内で分解されにくく、体外へも排出されにくい物質は、生物の体内に蓄積しやすい。 そのような物質が、食物連鎖を経て、高次の消費者になるほど体内に高濃度で蓄積する現象を“生物濃縮”という。 生物濃縮 例えば、フグ毒の“テトロドトキシン”は、もと…

【72】淡水湖の季節変化

淡水湖の表層では、春と秋に生じる対流が、深層に蓄積した栄養塩類を表層に供給することで、藻類が大発生する。 淡水湖の季節変化 淡水湖の季節変化 〈冬〉深層(4℃)に対して、表層の水温が低いので、対流が起こらない。深層から表層に栄養塩類が供給されず…