SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

2020-01-01から1年間の記事一覧

【42】カエルの発生

カエルやイモリ(両生類)は、ヒト(哺乳類)と同じ脊椎動物ということもあり、発生の仕組みがよく研究されてきた。 カエルの発生 哺乳類は体内受精、鳥類や爬虫類は硬い卵殻の中で発生が進むため、発生の様子を観察し難い。 一方、両生類は体外受精で、卵外…

【41】ウニの発生

ウニの卵は、ヒトの卵と同じように卵黄が均等に分布する等黄卵で、卵割の進み方もヒトとよく似ている。 ウニの発生 受精卵を地球に見立てると、北極&南極が動物極&植物極、経線に沿った卵割を“経割”、緯線に沿っ卵割を“緯割”という。 経割&緯割 卵割の進み…

【40】先体反応&表層反応

有性生殖においては、違う生物種の卵と精子が受精してはならない(種の識別)。 そして、一つの卵が複数の精子と受精することも許されない(多精拒否)。 先体反応&表層反応 ウニの場合、卵を取り囲むゼリー層(卵外被)が、同じ種類のウニの精子に対して“…

【39】動物の配偶子形成

有性生殖では、両親の配偶子が接合することで、両親の遺伝子を受け継いだ新しい個体が生まれる。配偶子は減数分裂により、両親の体細胞のDNAの半分を受け継いでいる。 動物の配偶子形成 生物のよって、接合する2つの配偶子の”大きさ”や”運動性”の違いの有無…

【38】植生の遷移

裸地→草原→低木林→陽樹林→陰樹林 溶岩台地のような土壌も種も根もない土地でも、風雨にさらされて風化が進み、鳥や虫に運ばれてきた種子や胞子が発芽して、植物や菌類が根付くようになる。 生き物が暮らすようになれば、枯葉や遺骸や排泄物などが徐々に分解…

【37】サンガー法

サンガー法(ジ・デオキシ法)を使うと、未知のDNAの塩基配列を明らかにできる。 サンガー法(ジ・デオキシ法)の原理 DNA複製の際、DNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)は、鋳型鎖と相補的なヌクレオチド鎖(新生鎖)の3‘末端に、新たなヌクレオチドを”脱水縮合…

【36】染色体の乗換え&遺伝子の組換え

ヒトゲノム ヒトの体細胞は、1組23本(23種類)の染色体(ゲノム)を両親から1組ずつ、合わせて2組46本持っている。体細胞が2組のゲノムを持つ状態(複相)になるには、減数分裂で染色体数が半減し、1組のゲノムを持つ状態(単相)の配偶子(卵細胞や精細胞…

【35】硬葉樹林と雨緑樹林

砂漠(サハラ砂漠とピラミッドとラクダ?)、サバンナ(灌木とライオン家族とシマウマの群れ?)、ステップ(大草原と遊牧民?)、熱帯多雨林(アマゾン河とジャングル?)・・・など、世界のバイオーム(生物群系)の中でも、硬葉樹林(地中海性気候)と雨…

【34】インスリン&グルカゴン

ヒトの血糖値は、空腹時で約0.1%ほどに保たれている。“血糖”は血液中のグルコース(ブドウ糖)のこと。グルコースは“呼吸”の基質であり、細胞がエネルギーを獲得し続ける(ATPを合成&分解し続ける)には、常に一定量が血液中に流れていなければならない。 …

【33】間脳視床下部と脳下垂体

『視床下部』は 『間脳』の一部(間脳の視床下部)だけれど、『間脳』から垂れ下がった『脳下垂体』は『間脳』とは別の器官である。 『脳下垂体』からは、多種多様なホルモンが血液中に分泌(内分泌系)されている。 中枢神経系 ヒトの『脳下垂体』は大きく…

【32】真核生物の転写調節

真核生物の遺伝子発現は、“大変に複雑”な方法で制御されている。遺伝子発現の第一段階“転写”は、RNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)がDNAの“プロモーター”領域に結合することではじまる。けれども、RNAポリメラーゼが“プロモーター”領域に結合したり、結合した…

【31】ラクトースオペロン

ラクトース(乳糖)は、ラクトース分解酵素によって、グルコース(ブドウ糖)とガラクトースに分解される。ラクトースを母乳に含む哺乳類も、原核生物の乳酸菌や大腸菌も、ラクトース分解に関わる遺伝子を持っている。 ラクトース=ガラクトース+グルコース…

【30】トリプトファンオペロン

トリプトファン 消化酵素、ホルモン、抗体、サイトカイン、神経伝達物質など...。生物には、“必要な時”に“必要な物質”を用意する仕組みがある。 原核生物の大腸菌も、“トリプトファンが無い時(トリプトファンが欲しい時)”に“トリプトファン合成酵素”を用意…

【29】体細胞分裂と減数分裂

染色体の複製(間期/S期) 体細胞分裂では、間期(のS期)に複製された染色体が、1本ずつ赤道面に並ぶ。両極から伸びてきた紡錘糸が染色体(の動原体)に付着すると、染色体はそれぞれ縦に引き裂かれ(縦裂)、両極に移動していく。 体細胞分裂 減数分裂で…

【28】DNA損傷と除去修復

DNA複製の際、DNAポリメラーゼが間違った塩基(ヌクレオチド)を付加してしまう誤り(ミスマッチ)や、紫外線や放射線、発癌性物質などの化学物質によって、塩基(ヌクレオチド)が置換や欠失してしまうことがある。 DNAの除去修復 損傷したDNAの修復方法は…

【27】酸素解離曲線

赤血球の中のヘモグロビンは、酸素を結合したり解離したりすることで、肺から全身の組織へ酸素を運んでいる。 血液循環 ヘモグロビン(Hb)の“酸素との結合しやすさ”は、周囲の酸素濃度や二酸化炭素濃度、温度、pHなど様々な条件から影響を受けている。 酸素…

【26】DNAの複製

DNAの複製は、“複製起点(レプリケーター)”に結合した2つの“DNAヘリカーゼ”が、それぞれ複製起点の両方向にDNAの二重らせんを“ほどき”ながら進んでいく。 DNAの複製 二重らせんが2本のヌクレオチド鎖にほどかれると、それぞれを鋳型鎖として、DNAポリメラ…

【25】体液性免疫

獲得免疫の“はじまり” T細胞は、それぞれ担当する“抗原”が決まっている。感染部位からリンパ節に向かった樹状細胞は、自身が提示している抗原を担当するT細胞を、多くのT細胞の中から探し出さなければならない。樹状細胞が“運命の”T細胞に抗原提示できれば、…

【24】遺伝情報の発現

“DNA”を『生命の設計図』として合成された様々な“タンパク質”の種類や組合せよって、実際の生物の形態や性質(形質)が決まる。DNAの塩基配列がmRNAに”転写“され、mRNAの塩基配列がタンパク質のアミノ酸配列に”翻訳“される過程を”遺伝情報の発現“と呼ぶ。 遺…

【23】PCR

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を考案したキャリー・マリスは、ドライブ中にこの画期的なDNA増幅方法のアイデアを思いついたらしい。 キャリー・マリス(1983年) DNAの増幅したい領域の両端の塩基配列が分かっていれば、二重鎖それぞれの5‘末端側に相当する短…

【22】原核生物のDNA複製

真核生物の直鎖状DNAが複製されるときには、“末端”があるために困った“問題”がおこる。 ラギング鎖は5’末端の“端”までは合成できない。 DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖(プライマー)の3‘末端にしか、新たなヌクレオチドを付加できない。そ…

【21】真核生物のDNA複製

DNAをつくる“ヌクレオチド鎖”には方向がある。2本の“ヌクレオチド鎖”は、互いに逆向きに組み合わさって“二重螺旋構造”をつくっている。 DNAの構造 DNAは、間期のS期(DNA合成期)に”こっそり“と複製されている。間期には染色体(DNA&タンパク質)が凝集し…

【20】真核生物の転写&翻訳

真核生物の染色体(DNA&タンパク質)は“核膜”で包まれている。遺伝情報をDNAの塩基配列からmRNAの塩基配列に“転写”する核内と、 RNAの塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列に“翻訳”する核外とは、“核膜”によって厳密に仕切られている。 真核生物の転写&翻…

【19】抗原提示とMHC

細胞は、MHC(主要組織適合遺伝子複合体分子)を使って、“自分がどんな成分を持っているか?“を免疫細胞に知らせている。 例えば、樹状細胞は食作用で取り込んだ異物の成分を、MHCクラスⅡ分子を使って抗原提示し、リンパ節で待つT細胞に知らせている。 MHCク…

【18】光合成〜光化学反応

光合成は、葉緑体のチラコイドで「光エネルギーを使って、水を分解&ATPを合成する」前半と、葉緑体のストロマで「二酸化炭素をグルコースを合成する」後半の2段階に分けられる。 光合成の“2つ”の段階 光合成/前半(チラコイドでの反応)では、チラコイド…

【17】光合成〜葉緑体

葉緑体の中には、“チラコイド”と呼ばれる偏平な袋が積み重なった構造がある。 葉緑体 チラコイド膜の外側には、クロロフィルaを取り囲むように様々な光合成色素(クロロフィルb、カロテノイド、キサントフィル…)が張り付いていて、それらの“アンテナ色素”が…

【16】尿生成と濃縮率

ヒトの腎臓では、一日におよそ180ℓもの血漿がろ過されている。ところが、血漿から作られる“尿”は、一日に2ℓ程度しか排出されていない。 尿生成 腎臓の“腎小体”では、”血漿“の一部が糸球体(血管)からボーマン嚢(膀胱につながる管の源)へろ過されて”原尿“…

【15】コハク酸脱水素酵素&FAD

FAD(Flavin adenine dinucleotide/フラビンアデニンジヌクレオチド)は、コハク酸脱水素酵素(コハク酸デヒドロゲナーゼ)の補酵素として働いている。 コハク酸脱水素酵素&FAD FADには、コハク酸脱水素酵素の“活性部位”を形作るとともに、コハク酸から奪っ…

【14】タンパク質の立体構造

タンパク質は、”アミノ酸“が“ペプチド結合”で連結した”ポリペプチド鎖“が、さらに折り畳まれてできている。 タンパク質を作る”アミノ酸“は20種類。ひとつのタンパク質は、数百〜数千個のアミノ酸が連結していて、その“組み合わせ”は膨大! タンパク質の立体…

【13】呼吸~電子伝達系

電子を伝達する代謝系だから“電子伝達系”。呼吸の”電子伝達系”は、ミトコンドリア内膜にある様々な”膜タンパク質”の間を、電子が受け渡されることで進む。ミトコンドリア内膜が、内側(マトリクス側)に”ひだ”状に張り出して”クリステ(隔壁)”を作っている…