SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【12】能動輸送~ポンプ

細胞膜などの生体膜において、濃度勾配に逆らう(濃度の低い方から高い方への)物質の移動を「能動輸送」という。能動輸送は、膜内外の濃度差が拡大する現象なので、それぞれの物質だけが通過できる”仕掛け(ポンプ)”を用意した上で、エネルギー(ATP)が必要になる。

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ナトリウムポンプ

ふつう細胞膜をはさんで、ナトリウムイオンは外側に、カリウムイオンは内側に多い。細胞膜に埋め込まれた“ナトリウムポンプ”によって、ナトリウムイオンは細胞外へ、カリウムイオンは細胞内へ“選択的”に輸送されているためで、細胞が消費するATPのうちほぼ3分の1が、この”能動輸送”のために費やされている。

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ナトリウムポンプ(ゆっくり再生)

ナトリウムポンプを構成するタンパク質は、リン酸と結合(リン酸化=やる気スイッチON!)すると立体構造が変化して“細胞外”に開口し、リン酸を放出(脱リン酸化)すると再び“細胞内”に開口する。ATPを分解することに注目すると、“ナトリウムポンプ”はATPase(ATP分解酵素)でもあるわけで、“ナトリウム−カリウムイATPアーぜ”と呼んでもよい。

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選択的透過性と膜タンパク質

【補足】

  • 選択的透過性(細胞膜/生体膜が、特定の物質だけを通過させる性質。濃度勾配にしたがう受動輸送と、濃度勾配に逆らう能動輸送がある。)
  • 能動輸送(細胞膜/生体膜を介した物質の移動のうち、濃度勾配に逆らうもの。エネルギーを必要とする。)
  • ポンプ(特定の物質だけを、濃度勾配に逆らって輸送する”仕掛け”)
  • ナトリウムポンプ(ナトリウムイオンを細胞外に、カリウムイオンを細胞内に輸送する”仕掛け”)
  • ナトリウム‐カリウムATPアーゼ(ATP分解酵素。ATPを分解して生じるエネルギーを使って、ナトリウムイオンを細胞外に、カリウムイオンを細胞内に輸送する”ナトリウムポンプ”としての機能を兼ねた膜タンパク。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店