【95】聴覚&定位
夜行性の鳥であるメンフクロウは、特有の神経回路を使って左右の耳に音が到達するわずかな時間差を検出し、餌となるネズミの位置を特定している。
音源の方向に応じて、メンフクロウが左右の耳で音を受容するまでの時間や、左右の耳(の聴細胞)からの興奮が聴神経を伝導して中枢まで伝達するまでの時間に差が生じる。メンフクロウは、左右の耳からの興奮が、どの介在ニューロンに同時に伝達(空間的加重)するかによって、音源の方向を判断できる。
【補足】
- EPSP(興奮性シナプス後電位。シナプス後細胞の細胞体の膜電位が、やや脱分極した状態。)
- IPSP(抑制性シナプス後電位。シナプス後細胞の細胞体の膜電位が、やや過分極した状態。)
- 空間的加重(複数の神経終末から同時に刺激を受けると、EPSPが加算されて膜電位がより大きく変化する。)
- 時間的加重(一つの神経終末から短時間に連続して刺激を受けると、EPSPが加算されて膜電位がより大きく変化する。)
- シナプス前細胞(シナプスで興奮が伝達される際に、興奮を発信する側のニューロン。)
- シナプス後細胞(シナプスで興奮が伝達される際に、興奮を受信する側のニューロン。)
【参考資料】