SOILーSHOP生物教材製作所 / 自習室

高校生物の予習&復習&自習

【23】PCR

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を考案したキャリー・マリスは、ドライブ中にこの画期的なDNA増幅方法のアイデアを思いついたらしい。

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キャリー・マリス(1983年)

DNAの増幅したい領域の両端の塩基配列が分かっていれば、二重鎖それぞれの5‘末端側に相当する短い“一本鎖DNA”2種類をプライマーとして用意する。プライマーの他、好熱細菌から得た耐熱性のDNAポリメラーゼ、DNAの材料となる4種類のデオキシリボヌクレオチド3リン酸を加え、加熱(二重鎖の解離)と冷却(プライマーの結合&ヌクレオチド鎖の伸長)を繰り返す。

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PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)

加熱と冷却を繰り返す(サーマルサイクル)たびに 2つのプライマーに挟まれた領域だけが増幅されていく。

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PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により、”微量のDNA“から、”特定の領域だけ“を増幅できるようになった。新型ウイルスの検出に限らず、DNA鑑定、遺伝子組換えなど、バイオテクノロジーの様々な分野で、PCRは欠かせない方法となっている。

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【補足】

  • DNAポリメラーゼ(ヌクレオチド鎖の“3‘末端”に、新たなヌクレオチドを付加する“DNA合成酵素”。)
  • プライマー(DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖しか伸長できない。PCRでは短い一本鎖DNAをプライマーに用いる。)
  • デオキシリボヌクレオチド3リン酸(ヌクレオチド鎖の材料となる。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)をそれぞれ構成要素とするdATP、dTTP、dGTP、dCTPの四種類がある。いずれも2個のリン酸が外れてヌクレオチド鎖の3’末端に結合する。)
  • アニーリング(相補的な塩基配列をもつヌクレオチド鎖どうしが結合する。)
  • 好熱細菌(温泉や海底の熱水噴出孔付近に生息する細菌類。高温でも失活しないDNAポリメラーゼを持つ。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂