【63】キモグラフ
“キモグラフ”では記録用の円筒が低速で回転するので、連続して刺激を与えながら、“刺激の頻度”と筋収縮の関係を記録できる。
1秒間に1回程度の刺激を与えると、約100ミリ秒(0.1秒)間ほどの短い筋収縮(単収縮)が起こる。
1秒間に15回程度の刺激を与えると、単収縮が終わる前(ミオシン頭部とアクチンフィラメントが滑り込み前の位置にもどる前)に、ミオシン頭部がアクチンフィラメントを手繰り寄せるために、痙攣に似た状態の筋収縮(不完全強縮)になる。
1秒間に30回程度の刺激を与えると、持続した筋収縮(強縮)になる。また、連続する刺激によって、Ca2+が筋小胞体に回収されずにトロポニンに結合した状態が続くため、ミオシン頭部が連続してアクチンフィラメントを手繰り寄せることで、筋収縮の幅も単収縮よりは大きくなる。
【補足】
- 神経筋標本(神経と筋肉を繋げた状態の標本。)
- キモグラフ(筋収縮曲線を円筒の表面に記録する装置。円筒の回転速度は遅い。)
- 単収縮(神経を1回刺激したときに生じる100ミリ秒(0.1秒)ほどの筋収縮。)
- 強縮(神経を連続して刺激したときに生じる持続する筋収縮。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂