【9】原核生物の転写&翻訳
原核生物(細菌類)には核膜が無いため、DNAからRNAへの“転写”が行われる場所と、RNAからポリペプチド(タンパク質)への“翻訳”が行われる場所とが、仕切られていない。
転写はされても翻訳はされない塩基配列“イントロン”も無いから、“スプライシング”も起こらない。
そのため、「DNAに、複数のRNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)がくっついて、そこから延びるmRNAに、さらに複数のリボソームがくっついて、そこから延びるポリペプチド(タンパク質)…」といった状況になる。
転写&翻訳が連続して進めば、短い時間で多量のタンパク質を合成できる。
真核生物では、こうはいかない。真核生物では、核膜によって“転写”は核内、“翻訳”は核外と別々の場所に仕切られている。転写と翻訳の間に、“イントロン”を切り離す“スプライシング”の一手間も加わる。
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【補足】
- 真核生物には”核膜”があるが、原核生物に”核膜”がない。
- 真核生物には”イントロン”があるが、原核生物には”イントロン”がない。
- イントロン(転写はされても、翻訳はされない塩基配列)
- エキソン(転写されて、翻訳もされる塩基配列)
- スプライシング(真核細胞の核内で、転写されたmRNA前駆体に含まれている”イントロン”が切り離され、”エキソン”だけを含むmRNAが作られる過程。)
- mRNA前駆体(真核細胞において、転写後・スプライシング前のRNA。”エキソン”と”イントロン”の両方を含む。)
- mRNA(メッセンジャーRNA。ポリペプチド/アミノ酸配列に翻訳される直前のRNA。)
- RNAポリメラーゼ(DNAの塩基配列をもとにRNAを合成する酵素。RNAのヌクレオチ
ド鎖の3'末端に、新たなヌクレオチドを付け加える。) - リボソーム(mRNAの塩基配列をもとにポリペプチドを合成する細胞小器官。rRNAとタンパク質が合体した”ダルマ”状の塊。細胞小器官ではあるけれども”膜構造”を持たない。)
- rRNA(リボソームRNA。リボソームの主成分になるRNA。すべての細胞がもっているが、原核生物と真核生物でサイズは異なる。)
- tRNA(トランスファーRNA。特定のアミノ酸と結合することで、”翻訳”の際にアミノ酸をリボソームに”連れてくる”。)
- ポリソーム(原核生物での”翻訳”において、一本のmRNAにいくつものリボソームが”鈴なり”になった状態。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂