【27】酸素解離曲線
赤血球の中のヘモグロビンは、酸素を結合したり解離したりすることで、肺から全身の組織へ酸素を運んでいる。
ヘモグロビン(Hb)の“酸素との結合しやすさ”は、周囲の酸素濃度や二酸化炭素濃度、温度、pHなど様々な条件から影響を受けている。
二酸化炭素濃度など他の条件が同じなら、酸素濃度が“高い”ほど、ヘモグロビン(Hb)は酸素と結合しやすくなり、酸素ヘモグロビン(HbO2)の割合が増える。
酸素濃度など他の条件が同じなら、二酸化炭素濃度が“低い”ほど、ヘモグロビン(Hb)は酸素と結合しやすくなり、酸素ヘモグロビン(HbO2)の割合が増える。
【補足】
- ヘモグロビン(鉄を含む“ヘム”の色素部分と、“グロビン”のポリペプチド部分からなるタンパク質複合体。)
- 酸素ヘモグロビン(酸素と結合したヘモグロビン。“ヘム”の鉄が酸化されて、酸化鉄に特徴的なの鮮赤色となる。)
- 酸素解離曲線(酸素濃度の変化に対して、酸素ヘモグロビンの割合の変化を表したグラフ。二酸化炭素炭濃度や温度、生物種や成長段階によって、異なるS字形のグラフになる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018)改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【26】DNAの複製
DNAの複製は、“複製起点(レプリケーター)”に結合した2つの“DNAヘリカーゼ”が、それぞれ複製起点の両方向にDNAの二重らせんを“ほどき”ながら進んでいく。
二重らせんが2本のヌクレオチド鎖にほどかれると、それぞれを鋳型鎖として、DNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)が新生鎖を合成し始める。
ただし、DNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)は、すでにあるヌクレオチド鎖の“3‘末端”にしか、新たなヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)を付加できない。そのため、二重らせんがほどけていく方向と同じ方向へ“連続的に合成されるリーディング鎖”と、二重らせんがほどけていく方向とは逆方向へ”断続的に合成されるラギング鎖”との違いが生じる。
実際には、リーディング鎖とラギング鎖のそれぞれを合成する2つのDNAポリメラーゼが、DNAヘリカーゼをはさんで一塊の複合体(複製装置)となっている。この時、ラギング鎖側のDNAポリメラーゼは、前後の鋳型鎖を“たぐり寄せ”ながら新生鎖を合成するため、“鼻提灯”の様なループ状の構造ができる。
【補足】
- DNAヘリカーゼ(DNAの二重螺旋を“ほどく”酵素。)
- DNAポリメラーゼ(ヌクレオチド鎖の“3‘末端”に、新たなヌクレオチドを付加する“DNA合成酵素”。プライマーを“5‘末端”側から分解する“ RNA分解酵素”でもある。)
- DNAリガーゼ(DNAのヌクレオチド鎖の3’末端と5‘末端を連結する酵素。)
- プライマー(DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖しか伸長できない。先に短い RNAが鋳型ヌクレオチドに結合し、DNAポリメラーゼが結合するためのプライマー“釣り針”となる。)
- デオキシリボヌクレオチド3リン酸(ヌクレオチド鎖の材料となる。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)をそれぞれ構成要素とするdATP、dTTP、dGTP、dCTPの四種類がある。いずれも2個のリン酸が外れてヌクレオチド鎖の3’末端に結合する。)
- 複製フォーク(DNA複製の際、二重螺旋がほどけて“二又のフォーク”の様な姿となる。)
- リーディング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の根元に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
- ラギング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の先端に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
- 岡崎フラグメント(ラグング鎖が伸長する際に、断続的に作られる短いヌクレオチド鎖。DNAリガーゼによって連結され、長いヌクレオチド鎖になる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【25】体液性免疫
T細胞は、それぞれ担当する“抗原”が決まっている。感染部位からリンパ節に向かった樹状細胞は、自身が提示している抗原を担当するT細胞を、多くのT細胞の中から探し出さなければならない。樹状細胞が“運命の”T細胞に抗原提示できれば、ようやく“獲得免疫”がはじまる。T細胞は増殖し、キラーT細胞やヘルパーT細胞へ分化していく。
B細胞も、それぞれ担当する“抗原”が決まっている。B細胞は、独自に病原体(の抗原)と出会っているものの、抗体産生細胞に分化する“決心”がつかないまま放浪している。そうこうするうち、たまたま同じ抗原を担当するヘルパーT細胞と出会えれば、B細胞は活性化して抗体産生細胞に分化できる。
抗体は、病原体の抗原と特異的に結合することで、病原体の自由を奪う。マクロファージや好中球などの食細胞にとっても、抗体付きの病原体の方が食(作用)が進む。
抗体はY字形のタンパク質“グロブリン”からできていて、それぞれ担当の抗原のみと結合する独自の“可変部“をもっている。1つのB細胞が作る抗体は、1種類の抗原とだけ“特異的”に結合する。
【関連記事】
【補足】
- 抗原(抗体が結合する成分。ウイルスの殻を構成するタンパク質や糖鎖、細菌類の細胞膜に浮かぶ膜タンパク質など、様々な成分が抗原となる。)
- 抗体(抗原に結合するタンパク質。各々のの抗体は、それぞれ特定の抗原だけに特異的に結合する。)
- 免疫グロブリン(抗体として働くタンパク質。長短2種類、合わせて4本のポリペプチドが組み合わさってY字形の構造となっている。)
- マクロファージ(白血球の中でも、大型の食細胞。膿となった好中球なども貪食する大食細胞。)
- 樹状細胞(白血球の中でも、大型の食細胞。MHCクラスⅡを使って、T細胞に抗原提示する。)
- T細胞(樹状細胞から抗原提示を受けると増殖し、キラーT細胞やヘルパーT細胞、記憶T細胞に分化する。)
- B細胞(MHCクラスⅡを使って、ヘルパーT細胞に抗原提示する。同時にヘルパーT細胞からは活性化されて増殖し、抗体産生細胞や記憶B細胞に分化する。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【24】遺伝情報の発現
“DNA”を『生命の設計図』として合成された様々な“タンパク質”の種類や組合せよって、実際の生物の形態や性質(形質)が決まる。DNAの塩基配列がmRNAに”転写“され、mRNAの塩基配列がタンパク質のアミノ酸配列に”翻訳“される過程を”遺伝情報の発現“と呼ぶ。
DNAの塩基配列を、タンパク質のアミノ酸配列に置き換える際には、3種類の ” RNA“が重要な役割を果たしている。
”翻訳“の際には、mRNAの3塩基の配列(トリプレット)が、1つのアミノ酸を指定する遺伝暗号(コドン)となる。4種類の塩基から作られるトリプレットは4×4×4=64通り。タンパク質を作るアミノ酸は20種類なので、複数の遺伝暗号(コドン)に対応するアミノ酸もある。
【補足】
- mRNA(メッセンジャー RNA/DNAの塩基配列を転写した RNA。翻訳後は分解される。)
- rRNA(リボソーム RNA/リボソームを構成する RNA。原核生物と真核生物のそれぞれで、ほぼ共通の塩基配列をしている。)
- t RNA(トランスファー RNA/1本鎖 RNAが折り畳まれ、一部が二本鎖 RNAとなってクローバーの三つ葉に似た形をしている。3‘末端にアミノ酸が結合する。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【23】PCR
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を考案したキャリー・マリスは、ドライブ中にこの画期的なDNA増幅方法のアイデアを思いついたらしい。
DNAの増幅したい領域の両端の塩基配列が分かっていれば、二重鎖それぞれの5‘末端側に相当する短い“一本鎖DNA”2種類をプライマーとして用意する。プライマーの他、好熱細菌から得た耐熱性のDNAポリメラーゼ、DNAの材料となる4種類のデオキシリボヌクレオチド3リン酸を加え、加熱(二重鎖の解離)と冷却(プライマーの結合&ヌクレオチド鎖の伸長)を繰り返す。
加熱と冷却を繰り返す(サーマルサイクル)たびに 2つのプライマーに挟まれた領域だけが増幅されていく。
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により、”微量のDNA“から、”特定の領域だけ“を増幅できるようになった。新型ウイルスの検出に限らず、DNA鑑定、遺伝子組換えなど、バイオテクノロジーの様々な分野で、PCRは欠かせない方法となっている。
【関連記事】
【補足】
- DNAポリメラーゼ(ヌクレオチド鎖の“3‘末端”に、新たなヌクレオチドを付加する“DNA合成酵素”。)
- プライマー(DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖しか伸長できない。PCRでは短い一本鎖DNAをプライマーに用いる。)
- デオキシリボヌクレオチド3リン酸(ヌクレオチド鎖の材料となる。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)をそれぞれ構成要素とするdATP、dTTP、dGTP、dCTPの四種類がある。いずれも2個のリン酸が外れてヌクレオチド鎖の3’末端に結合する。)
- アニーリング(相補的な塩基配列をもつヌクレオチド鎖どうしが結合する。)
- 好熱細菌(温泉や海底の熱水噴出孔付近に生息する細菌類。高温でも失活しないDNAポリメラーゼを持つ。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【22】原核生物のDNA複製
真核生物の直鎖状DNAが複製されるときには、“末端”があるために困った“問題”がおこる。
DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖(プライマー)の3‘末端にしか、新たなヌクレオチドを付加できない。そのため、ラギング鎖の5’末端ではプライマー(RNA)と入れ替わるヌクレオチド鎖(DNA)を合成できない。すると、真核生物の直鎖状DNAは、複製のたび(細胞分裂のたび)、プライマー1つ分ずつ短くなっていくことになる。DNAが徐々に短くなり、やがて重要な遺伝子の塩基配列まで失われてしまうと…。
一方、原核生物の環状DNAには“末端”が無い。真核生物のように“テロメア”を付け加えたり、相同染色体を対でもつ必要も無い? ほとんどの原核生物は、ゲノムを1セットしか持たない。
原核生物では、いつも決まった1ヵ所の複製起点からDNA複製が始まる。原核生物のDNAは、真核生物のように“ヒストン”に巻き取られていないこともあり、真核生物(毎秒80塩基対ほど)の10倍ほど速くDNA複製が進む。
さらに、原核生物のゲノムサイズは小さいため、複数の複製開始点をもつ真核生物よりも、DNA複製の期間も短い。ヒト(真核生物)のS期(DNA合成期)は約8時間もかかるのに、大腸菌(原核生物)のS期は40分ほどしかかからない。
【補足】
- テロメア(真核生物の直鎖状DNAには、末端部に特徴的な繰り返し配列がある。DNA複製のたびにテロメアは短くなっていく。)
- 環状DNA(原核生物のDNAには“末端”がない。)
- プラスミド(染色体DNAとは別に、細胞内に存在する短い環状DNA。原核生物や、酵母菌などがもつ。)
- 複製開始点(DNAの塩基配列の中で、複製が開始される部分。)
- DNAヘリカーゼ(DNAの二重螺旋を“ほどく”酵素。)
- DNAポリメラーゼ(ヌクレオチド鎖の“3‘末端”に、新たなヌクレオチドを付加する“DNA合成酵素”。プライマーを“5‘末端”側から分解する“ RNA分解酵素”でもある。)
- DNAリガーゼ(DNAのヌクレオチド鎖の3’末端と5‘末端を連結する酵素。)
- プライマー(DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖しか伸長できない。先に短い RNAが鋳型ヌクレオチドに結合し、DNAポリメラーゼが結合するためのプライマー“釣針”となる。)
- デオキシリボヌクレオチド3リン酸(ヌクレオチド鎖の材料となる。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)をそれぞれ構成要素とするdATP、dTTP、dGTP、dCTPの四種類がある。いずれも2個のリン酸が外れてヌクレオチド鎖の3’末端に結合する。)
- 複製フォーク(DNA複製の際、二重螺旋がほどけて“二又のフォーク”の様な姿となる。)
- リーディング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の根元に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
- ラギング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の先端に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
- 岡崎フラグメント(ラグング鎖が伸長する際に、断続的に作られる短いヌクレオチド鎖。DNAリガーゼによって連結され、長いヌクレオチド鎖になる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【21】真核生物のDNA複製
DNAをつくる“ヌクレオチド鎖”には方向がある。2本の“ヌクレオチド鎖”は、互いに逆向きに組み合わさって“二重螺旋構造”をつくっている。
DNAは、間期のS期(DNA合成期)に”こっそり“と複製されている。間期には染色体(DNA&タンパク質)が凝集していないため、DNAが複製されて”倍加“している様子を観察することは難しい。
DNAポリメラーゼ(DNA合成酵)は、先に複製開始点に取り付いた“プライマー( RNAの短い断片)”の3‘末端に結合し、プライマーの3’末端に新たなヌクレオチドを付加していく。DNAポリメラーゼは、新たなヌクレオチドを“3’末端”にしか付加できないため、ヌクレオチド鎖は必ず“5‘末端→3’末端”の方向に伸長することになる。
【補足】
- ヒストン(DNAとともに“染色体”を構成するタンパク質。真核生物のDNAは、タンパク質“ヒストン”に巻き取られている。DNAが”負の電荷“を、ヒストンが”正の電荷“をもち、安定した構造“ヌクレオソーム”となる。)
- ヌクレオソーム(DNAが、タンパク質“ヒストン”に巻き取られた構造。一つのヒストンに、146塩基対のDNAが巻き取られている。)
- DNAヘリカーゼ(DNAの二重螺旋を“ほどく”酵素。)
- DNAポリメラーゼ(ヌクレオチド鎖の“3‘末端”に、新たなヌクレオチドを付加する“DNA合成酵素”。プライマーを“5‘末端”側から分解する“ RNA分解酵素”でもある。)
- DNAリガーゼ(DNAのヌクレオチド鎖の3’末端と5‘末端を連結する酵素。)
- プライマー(DNAポリメラーゼは、“すでにある”ヌクレオチド鎖しか伸長できない。先に短い RNAが鋳型ヌクレオチドに結合し、DNAポリメラーゼが結合するためのプライマー“釣針”となる。)
- デオキシリボヌクレオチド3リン酸(ヌクレオチド鎖の材料となる。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)をそれぞれ構成要素とするdATP、dTTP、dGTP、dCTPの四種類がある。いずれも2個のリン酸が外れてヌクレオチド鎖の3’末端に結合する。)
- 複製フォーク(DNA複製の際、二重螺旋がほどけて“二又のフォーク”の様な姿となる。)
- リーディング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の根元に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
- ラギング鎖(DNA複製の際、“複製フォーク”の先端に“3‘末端”を向けて伸長していく“新たなヌクレオチド鎖”。)
- 岡崎フラグメント(ラグング鎖が伸長する際に、断続的に作られる短いヌクレオチド鎖。DNAリガーゼによって連結され、長いヌクレオチド鎖になる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【20】真核生物の転写&翻訳
真核生物の染色体(DNA&タンパク質)は“核膜”で包まれている。遺伝情報をDNAの塩基配列からmRNAの塩基配列に“転写”する核内と、 RNAの塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列に“翻訳”する核外とは、“核膜”によって厳密に仕切られている。
真核生物の遺伝情報は、タンパク質に翻訳される“エキソン”と翻訳されない“イントロン”がある。RNA(mRNA前駆体)は、核から出る前に“イントロン”が切り離される“スプライシング”を経なければならない。
原核生物の染色体(DNA&タンパク質)は“核膜”で包まれていない。したがって、DNAの塩基配列からmRNAの塩基配列への“転写”と、 RNAの塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列への“翻訳”は同じ空間で進行する。
原核生物の遺伝情報は、すべてタンパク質に翻訳される可能性がある。真核生物の様な“スプライシング”も起こないので、同じ細胞質基質中で“転写”と“翻訳”が連続して進む。
【関連記事】
- 真核生物(染色体が“核膜”に包まれている。)
- 転写(DNAの塩基配列に“相補的”な塩基配列をもつ RNAが合成される。)
- スプライシング( RNA前駆体から不要な配列“イントロン”を切り離し、必要な配列“エキソン”だけを繋げてmRNAが作られる。)
- 翻訳(mRNAの塩基配列に対応するアミノ酸配列をもつ“ポリペプチド”が合成される。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【19】抗原提示とMHC
細胞は、MHC(主要組織適合遺伝子複合体分子)を使って、“自分がどんな成分を持っているか?“を免疫細胞に知らせている。
例えば、樹状細胞は食作用で取り込んだ異物の成分を、MHCクラスⅡ分子を使って抗原提示し、リンパ節で待つT細胞に知らせている。
MHCには、”クラスⅠ“と”クラスⅡ“の2種類がある。普段はMHCクラスⅠを使って”自己の抗原“を提示することで、身内にあたる免疫細胞から攻撃されないようにしている。
けれども、”非自己の抗原“を提示する場合は、MHCの”クラスⅠ“か”クラスⅡ“かで、抗原提示した細胞の運命は大きく分かれる。
感染などにより”非自己の抗原“をMHCクラスⅠ分子を使って提示したり、”自己の抗原“を提示できなくなったりした細胞は、キラーT細胞やNK細胞によって排除されてしまう(細胞傷害)。
【関連記事】
【補足】
- TLR(Toll様受容体。病原体となりそうなウイルスや細菌類に共通する “ RNA”や“鞭毛”、“細胞壁”などの成分と結合する“パターン認識受容体”の一つ。)
- MHCクラスⅠ(抗原提示用の膜タンパク質。ほとんどの有核細胞が持つ。)
- MHCクラスⅡ(抗原提示用の膜タンパク質。一部の免疫細胞が持つ。)
- TCR(T細胞受容体。MHC上の抗原と結合する。特定の抗原にしか結合しない性質“特異性”が極めて高い。)
- T細胞(骨髄で誕生したのち、胸腺“thymus”で成熟する。誕生の際に遺伝子が再構成されていて、一つのT細胞は一種類のTCRしか持たない。自己抗原に反応するT細胞は、胸腺で除去される。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【18】光合成〜光化学反応
光合成は、葉緑体のチラコイドで「光エネルギーを使って、水を分解&ATPを合成する」前半と、葉緑体のストロマで「二酸化炭素をグルコースを合成する」後半の2段階に分けられる。
光合成/前半(チラコイドでの反応)では、チラコイド膜に埋め込まれた”光合成色素”と”膜タンパク質”を主役に、①水を分解(光化学系Ⅱ)、②チラコイド内に水素イオンを運び込む(電子伝達系)、③NADPの還元(光化学系Ⅰ)、④ATPの合成(光リン酸化)が進む。
一連の反応は、”光エネルギー”を受け取った”衝撃”で電子を手放してしまった2カ所(光化学系Ⅰ&Ⅱ)のクロロフィルaが、それぞれ再び電子を取り戻そうとすることを”きっかけ”に同時進行する。
”光化学系Ⅰのクロロフィルa”は、手放した電子がNADPに奪われてしまうので、”光化学系Ⅱのクロロフィルa”が手放した電子を自分のものにする(③NADPの還元)。その電子が"光化学系Ⅱ"から"光化学系Ⅰ"に流れる途中で、水素イオンをチラコイド内に運び込まれ(②電子伝達系)、”光化学系Ⅱのクロロフィルa”は水から電子を奪い取る(①水の分解)。
光合成/前半(チラコイドでの反応)で調達した”NADPH+H+”と”ATP”は、光合成/後半(ストロマでの反応)のカルビン-ベンソン回路を”回す”ために使われる
【関連記事】
- 光化学反応(光エネンルギーを原動力として、葉緑体のチラコイドで進行する一連の反応)
- 光化学系Ⅱ(光エネルギーを受け取った”衝撃”で電子を手放してしまったクロロフィルaが、周囲の膜タンパク質と共謀して”水”から電子を奪い取る。)
- 電子伝達系(光化学系Ⅱから光化学系Ⅰに電子が流れる途中で、水素イオンをチラコイド膜の内側に運び込まれる。)
- 光化学系Ⅰ(クロロフィルaが光エネルギーを受け取った”衝撃”で手放した電子を、周囲の膜タンパク質の助けを借りたNADPが奪い去る。クロロフィルaは、光化学系Ⅰが手放した電子を、電子伝達系を経由して譲ってもらう。)
- ATP合成酵素(電子伝達系によってチラコイド内に詰め込まれた水素イオンを流し出す”勢い”で、ATPを合成する。)
- 光リン酸化(光合成では、光エネンルギーをもとにATPが合成される。)
- NADP(”光合成”で活躍する電子受容体。”呼吸”で登場するNADとほぼ同じ構造をしている。)
- Rubisco(RuBP-カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ。通称”ルビスコ”。"光合成"の後半の反応”カルビン-ベンソン回路”で、RuBPに炭酸を付加する酵素。)
- 光呼吸(光条件が良くATPもNADPHも十分にある=RuBPも十分にあるのに、二酸化炭素濃度が低いと、Rubiscoは”炭酸固定酵素”ではなく”酸化酵素”としてはたらいてしまう。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
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- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【17】光合成〜葉緑体
葉緑体の中には、“チラコイド”と呼ばれる偏平な袋が積み重なった構造がある。
チラコイド膜の外側には、クロロフィルaを取り囲むように様々な光合成色素(クロロフィルb、カロテノイド、キサントフィル…)が張り付いていて、それらの“アンテナ色素”が捕えた光エネルギーは、チラコイド膜に埋め込まれた“クロロフィルa”へと集められる。
チラコイドの膜には、膨大な数の光合成色素“クロロフィルa”を含む膜タンパク質や、電子伝達系の膜タンパク質、ATP合成酵素などが埋め込まれている。
“クロロフィルa”が光エネルギーを受け取ると、光合成の前半にあたる反応(①水の分解、②電子伝達系、③NADPの還元、④ATP合成)が進む。
【関連記事】
- 葉緑体(光合成を行う細胞小器官)
- ストロマ(葉緑体の内側の空間。チラコイド膜の外側。)
- チラコイド(葉緑体の内側にある偏平な袋状の構造。チラコイドの膜には、光合成色素“クロロフィルa”を含む様々な膜タンパク質が“埋め込まれて”いる。)
- グラナ(チラコイドの所々が層状に積み重なった部分。)
- 光合成(”光エネルギー”を使って、水と二酸化炭素から有機物”グルコース”を合成する。ついでに酸素もできる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
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【16】尿生成と濃縮率
ヒトの腎臓では、一日におよそ180ℓもの血漿がろ過されている。ところが、血漿から作られる“尿”は、一日に2ℓ程度しか排出されていない。
腎臓の“腎小体”では、”血漿“の一部が糸球体(血管)からボーマン嚢(膀胱につながる管の源)へろ過されて”原尿“となる。“原尿”に含まれる成分のうち、各種イオンなどの成分はその時々の必要性に応じて、ボーマン嚢の先の細尿管(腎細管)から毛細血管へと再吸収される。大事な大事なグルコース(エネルギー源!)はほぼ100%、水分もほとんどが毛細血管へ回収(再吸収)される。
すると、原尿の成分の中でも“水分より再吸収されにくい成分”の濃度は徐々に高まり(濃縮され)、最後は“尿”として排出される。とくに“全く再吸収されない成分”の濃縮率がわかれば、“尿“の量[L]から、ろ過された”原尿“の量[L]を推測することができる。
【補足】
- 腎臓(血漿から尿を作る臓器)
- 血漿(血液から血球を除いた液体)
- 原尿(血漿成分のうち、糸球体からボーマン嚢へ“ろ過”された成分。)
- 尿(原尿成分のうち、細尿管や集合管から毛細血管へ“再吸収”されなかった成分。)
- 腎小体(糸球体+ボーマン嚢)
- マルピーギ小体(腎小体)
- 濃縮率(=原尿中の濃度/尿中の濃度)
- 半透膜(細胞膜やセロハン膜など、高分子は通し&低分子は通さない膜)
- 浸透圧(ある溶液が水を”引き込む”力。様々な溶質を含んだ溶液の全体的な”濃さ”を表している。)
- 高張液(浸透圧の高い溶液)
- 等張液(浸透圧が等しい溶液)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【15】コハク酸脱水素酵素&FAD
FAD(Flavin adenine dinucleotide/フラビンアデニンジヌクレオチド)は、コハク酸脱水素酵素(コハク酸デヒドロゲナーゼ)の補酵素として働いている。
FADには、コハク酸脱水素酵素の“活性部位”を形作るとともに、コハク酸から奪った“水素”をミトコンドリア内膜の“電子伝達系”へと運搬する重要な役割がある。
水素を奪ったFAD(還元型補酵素“FADH2”)は、ミトコンドリア内膜の“電子伝達系”で酸化され(水素を奪われ)、再びミトコンドリア・マトリックスのクエン酸回路に戻ってくる。
【関連記事】
【補足】
- 呼吸(有機物を段階的に分解しながらATPを合成する一連の反応。酸素を必要とする。)
- 解糖系(呼吸の第1段階。細胞質基質で進む。)
- クエン酸回路(呼吸の第2段階。ミトコンドリアのマトリックスで進む反応。ピルビン酸がクエン酸を経て、段階的に“脱水素反応”や“脱炭酸反応”などを受けてオキサロ酢酸になる。オキサロ酢酸は再びクエン酸に再生される。)
- 電子伝達系(呼吸の第3段階。ミトコンドリアの内膜で進む。)
- NAD+(Nicotinamide adenine dinucleotide。酸化型/水素を結合していない状態。脱水素酵素の補酵素として働く。)
- NADH+H+(またはNADH2。NAD+の還元型/2個の水素イオンを運搬している状態。電子伝達系で電子供与体/水素供与体となる。)
- FAD(Flavin adenine dinucleotide。酸化型/水素を運搬していない状態。コハク酸脱水素酵素の補酵素として働く。)
- FADH2(FADの還元型/2個の水素イオンを運搬している状態。電子伝達系で電子供与体/水素供与体となる。)
- 補酵素(酵素の一部として働く低分子。酵素のタンパク質部分“アポ酵素”との結合は弱く、“透析”により分離できる。FADは“アポ酵素”と共有結合で“強力”に連結しており“透析”では分離できないので、厳密には“補欠分子族”と呼ぶ。)
- ミトコンドリア(呼吸の場となる細胞小器官)
- マトリックス(ミトコンドリアの内膜の内側。クエン酸回路にかかわる酵素を含む。)
- クリステ(ミトコンドリアの内膜がマトリックス側に突き出した”ひだ”の部分。電子伝達系にかかわる膜タンパク質が存在する。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【14】タンパク質の立体構造
タンパク質は、”アミノ酸“が“ペプチド結合”で連結した”ポリペプチド鎖“が、さらに折り畳まれてできている。
タンパク質を作る”アミノ酸“は20種類。ひとつのタンパク質は、数百〜数千個のアミノ酸が連結していて、その“組み合わせ”は膨大!
ポリペプチド鎖の折り畳まれ方は、アミノ酸の性質(親水性、疎水性、水酸基、カルボキシ基、アミノ基・・・などの有無)で決まる。たいていのアミノ酸どうしが引っ張り合う“水素結合“、側鎖に“S(硫黄)”を持つ“システイン”どうしの“S-S結合(ジスルフィド結合)など。
1950年代、アンフィンセンは『アミノ酸配列が決まれば、ポリペプチド鎖はその配列に応じた立体構造を“勝手に”作るのか?』との疑問に取り込んでいる。リボヌクレアーゼ(RNA分解酵素)を、2-メルカプトエタノール(2-ME)と尿素で処理すると立体構造が崩れる(失活する)が、2−MEと尿素を取り除くと再び元の立体構造に復帰する(活性を取り戻す!)ことを確かめた。
現在は、タンパク質によっては、単純にアミノ酸配列だけでなく、ポリペプチド鎖“正しく”折り畳まれる(フォールディング)を助けるタンパク質“シャペロン”も欠かせないことがわかってきている。
【補足】
- 熱に弱い”水素結合“
- 熱に強い”S-S結合“
- タンパク質の一次構造(アミノ酸配列)
- タンパク質の二次構造(“ αヘリックス”と“βシート”)
- タンパク質の三次構造(本格的な立体構造。ほどけば“1本のポリペプチド鎖”になる。)
- タンパク質の四次構造(複数のサブユニットの組み合わせ。ほどくと“複数本のポリペプチド鎖”になる。)
- フォールディング(ポリペプチド鎖が“正しく”折り畳まれること)
- シャペロン(フォールディングを助けるタンパク質)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂
【13】呼吸~電子伝達系
電子を伝達する代謝系だから“電子伝達系”。呼吸の”電子伝達系”は、ミトコンドリア内膜にある様々な”膜タンパク質”の間を、電子が受け渡されることで進む。ミトコンドリア内膜が、内側(マトリクス側)に”ひだ”状に張り出して”クリステ(隔壁)”を作っているのも、内膜の表面積を広げてより多くの”膜タンパク質”を”泳がせておく”には都合が良い。
”電子伝達系”は、ダムに水をためて放流・発電する”水力発電”のようなもの。
ただし、ダムには自然に水が溜まるわけではなく、バケツ(還元型補酵素)を使って少しずつためなければならない。ダム(ミトコンドリア内膜と外膜の間)に水(水素イオン)が溜まれば、落差(濃度勾配)を利用して放流し、発電機(ATP合成酵素)で発電できる。
”電子伝達系”の”基本的な流れ「①還元型補酵素(NADH&H+,FADH2)の酸化(脱水素反応)→②ミトコンドリア内膜を挟んだH+の濃度勾配の広がり(水素イオンを膜間にどんどん詰め込む!)→③ATP合成(水素イオンを放流!)」を押さえておきたい。
還元型補酵素(NADH+H+)の場合、1回につき”3つ”のプロトンポンプ(水素イオンを能動輸送!)を動かして、水素イオン”3つ分”の濃度勾配を作れる。
還元型補酵素(FADH2)の場合、1回につき”2つ”のプロトンポンプ(水素イオンを能動輸送!)を動かし、水素イオン”2つ分”の濃度勾配を作る。
【関連記事】
- 呼吸(有機物を段階的に分解しながらATPを合成する一連の反応。酸素を必要とする。)
- 解糖系(呼吸の第1段階。細胞質基質で進む。)
- クエン酸回路(呼吸の第2段階。ミトコンドリアのマトリックスで進む。)
- 電子伝達系(呼吸の第3段階。ミトコンドリアの内膜で進む。)
- NAD+(Nicotinamide adenine dinucleotide。酸化型/水素を結合していない状態。脱水素酵素の補酵素として働く。)
- NADH+H+(またはNADH2。NAD+の還元型/2個の水素イオンを運搬している状態。電子伝達系で電子供与体/水素供与体となる。)
- FAD(Flavin adenine dinucleotide。酸化型/水素を運搬していない状態。コハク酸脱水素酵素の補酵素として働く。)
- FADH2(FADの還元型/2個の水素イオンを運搬している状態。電子伝達系で電子供与体/水素供与体となる。)
- ミトコンドリア(呼吸の場となる細胞小器官)
- マトリックス(ミトコンドリアの内膜の内側。クエン酸回路にかかわる酵素を含む。)
- クリステ(ミトコンドリアの内膜がマトリックス側に突き出した”ひだ”の部分。電子伝達系にかかわる膜タンパク質が存在する。)
- ATPアーゼ(ATP合成/分解酵素。ATPを分解することで、濃度勾配に逆らって水素イオンを輸送するポンプとしての機能と、濃度勾配に従って水素イオンを輸送することでATPを合成する機能と、相反する機能を備えた膜タンパク質。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店